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- ナノ -
06
事務所へ行くとローが驚いた顔で看板を見ていた。
まさかこんなところに来るなんて、とかか?

「じゃー、二名出社!」

――ドンッ

玄関に入った途端ランドセルを投げ飛ばす。

「なぁ、まじ三日間休むとかあり得なくない?ねぇ?」

猫を脱ぎ捨て二人を見る。
ローは居間に先に行っている。
父によるほわほわ空間に支配された場所で今ごろお茶でも啜ってんでしょ。

「ひいー!」

「さっきから悲鳴が同じで面白くもなんともないだけど」

「ダメ出し!?」

「それによくも意見言ったね。なに?虎の威を借りるブタ?」

「いやそれちが」

「ねぇ、ブタ?」

「いやあ」

「ほこり?」

「虫の過程もなし!?」

こういう時は取り合えずどんどん下に下がっていく筈なのに何故か飛んだ。
取り合えずスタジオへ。
三日間サボっていたのでビシバシとする。
まず準備体操。

「父さん、あの子お菓子食べた?」

「いや、でも、父さんの本読み出したよ」

「うちのもんに手をつけといてただで帰らせるなんてことは面子にかけて許しちゃダメだからね」

「あの子、顔が整ってるから父さんも欲しいなー」

そんなもん父が言わなくともそのつもり。

「ロー……策略にはまったのか」

ペンギンが呟く。
早速居間へ向かう。

「ほら、書いておいた」

が、何も言ってないうちから契約書にサインしていた。
いや、なーんも言ってないけど!

「これ、うちの事務所の契約書なんだけど」

疑いに目を細めながら述べる。

「読んだから理解してる」

「なんで?」

「なんで、とは」

イライラする。
こんな都合よくサインする人がいるわけない。
この子は狡猾なタイプだ、絶対。
後ろから刺すようなタイプというより絶対手を下さずに消し去る方。

「理由が欲しいならくれてやる」

「!……あんま舐めてると痛い目にあうんだから」

父のあんな痩せこけた姿なんて二度と見たくない。
あの時の父がフラッシュバックする。

「そう活きるな」

ぐっと拳を丸める。

「父さん……受理して」

「本当に良いのかい?」

どんな汚い事があっても守ると決めた。
今更やはりやめるなどと、言いたくない。

「ああ」

ローは無表情で頷く。