×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
番外編01
「今日はここまで。マスコミにシャッターを押されても姿を見せるな」

――ビシン

こん棒のようにポインターを叩きつける。
撮られてもいいが写るな。
隙を見せたらそこで終わりなのだ。
リーシャの言葉に全員がビシッと敬礼する。
ここは軍ではない、事務所の施設だ。
いつものように指導する。
そろそろ新しいマネージャーでも雇うかと、父とローとで相談している。
一時病院に入院して燃え尽きてしまったのは記憶に新しい。
その時のことを思い出すと、やはりああなるのは予想していたことだと思える。
父の後ろ姿を見ていたから、望んだ。
望みが叶った今、やる必要はなくなった。
燃料がなくなったのだ。
だが、父は次なるものを所望した。
結婚と孫だ。
ビシバシ系の鬼教官にそんな縁があるわけもないとほぼ諦めだ。

「おい、飲みに行くぞ」

「嫌よ。万が一マスコミに撮られたら水の泡なのは分かってんでしょ」

ローが廊下から姿を表した。
時々飲もうと誘われるが危険は犯せぬ。

「事務所の社員って言えば即解決だろ」

「でも、後からじゃ火消しは大変なの」

何度も言ってるんだけどね、いい加減ちゃんと理解して欲しい。

「おれは構わない」

「貴方がよくても私はダメ……わ」

途中なのに突然手を引いて会議室へ引き込まれる。
改装したから部屋が増えたんです。
お陰でタレントも増やせる。

「ちょっと、やめて」

「少しの間だ」

「なに?」

腕を話して貰えないまま、今や引っ張りだこの男はキリッとした様子。

「早いとこ言って。まだスケジュールが」

「結婚のことは考えてんのか」

「はぁ?」

思わず不機嫌になるし気分も下がる。
つか、馴れ馴れしい話題降りやがって。

「関係ないでしょ」

「あるだろ。おれの今後にも関わる」

いや、ないだろ。

「おれもそろそろ結婚するべき年齢になったしな」

「まさかとは思うけど貴方と?」

「ああ。商品も棚卸しの時期だ」

「バカ言わないで。目玉なんだから下ろせるわけない」

「じゃあ、旬が過ぎたら買い取ってくれるのか」

未来の話をされても困る。

「さてね」

ローは会議室を去ろうとしたリーシャの腰を引き、顔を寄せる。

「予約な」

「え、なんの話」

パッと一つのアクセサリーを腕に通す。

「薬指はせめて開けとけ」

ローはなんの躊躇もなく会議室を退室。
呆気にとられたまま、タレントの子に声をかけられるまでぼんやりしてしまった。





「とーさん!」

その後、テレビでローがタレントから舞台やドラマの背景の監督にシフトチェンジしたことを知る。
また裏切られた!
その思いで父を探しローのことを告げる。

「はいはい、どうした慌てて」

テレビ見てないのか。

「ローが転身する!あいつ大根下ろしに処してやる!洗濯板頂戴!」

父に怒鳴ると相変わらずぽややんとした顔。

「えー?ロー君は別に事務所やめてないよ?」

「は?勝手に独断で抜けたの!テレビでやってたのよ!監督になってっ。ぶっ――」

という感じで放送出来ぬ言葉を放ちまくる。
prev * 11/13 * next
+bookmark