10
もうやりきった、と首を振る。
「やめてくれローくん。この子は元々気の強い子じゃないんだ。私が頼りないから無理矢理キツい性格になろうと」
「知ってても言わないで」
なんかまるで尖ってたみたいじゃん。
あと、ばれるのは恥ずかしいもん。
「そんなの関係ねェ」
ローは嫌がるのを無視して、リーシャに迫る。
「おれは正直この世の中はなにもないと思ってた。お前が指導する度に鼻で笑うようなことばかり胸に浮かんだ。次世代のやつらにも同じように感じさせろ」
「私はそんなのどうでもいいの。ただ、もう見たくなくて」
「ああ、そうだな。お前はいつだって父親だけしか見てねェ」
ローはギリッと噛み締めキツく睨み付けてくる。
「終いだなんて決めつけるな。尚早だ。次の目標さえありゃお前はまた抗うんだな」
問いかけと言うよりも宣言に聞こえた。
「おい、覚えてるか」
父に向けてローが言う。
それに可と答える。
なに、なんなの。
何が起こるんだと怪訝に思う。
父はいつものぽやぽやした顔で。
「父さん、孫が見たいなぁ。三人くらいは欲しい。それに、リーシャの花嫁姿も見たいな〜」
父には弱い。
父は娘に弱いと聞くがその逆もしかり。