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取られたのが単に気に入らないだけなのかも。

海賊なのだからメンツが大切って聞くけど。

「お前には教えない」

「ぶっ潰す!」

「やれるもんならーー」

煽るローにキッドが矛先を向け、ローはサクッと跳ぶ。

「キラー、何人か行かせろ」

「既に潜入している」

窓越しなのでなんて言っているのか分からない。

「阻止しろ」

「アイアイ!」

「キャプテン。あいつら変な女連れてたけど、どこに行ったんだろーね」

ハートの団員達が聞くがローにも検討付かず気配も感じないので付近には居ない。

「ユースタス屋、あの変人女はどうした。敵船の船長に話しかけるようなヤツだったから捨てたか?」

ユースタス・キッドはニヤッと笑う。

どうやら捨てたらしい。

行動が早すぎて同業者として少し同じ枠に入りたくないと、不快に目を細めた。

「頭!窓を見て下さい」

「あ"?」

(ひぃ!目が合ったああ!)

全員がこちらを向くので、ホラー体験で真っ青だ。

気配は知っていたので直ぐ様見つかった。

「うお、なんでそんなとこ居るんだ」

シャチ達が驚きに眼を見張る。

ベポは上にまでターン、と飛び上がる。

ネネカの所まで行って一気に距離を詰めると、彼女を抱き締めて行動した。

団員たちからすれば拍手もの。

素早さにキッドの団員達が悔しげに走る。

もう、本人など関係なく一種のレースのようになっていた。

早いもの勝ち。

こちらはこちらで体が固定されて身動き取れなくて、どうすれば良いのか目を白黒させるしかない。

ローはそのまま連れて行けとベポに指示する。

それを押しのける様にキッドがベポへ向かう。

阻止するためにルームを展開するとキッドはさせないぞと能力を動かしてベポに向けて鉄の塊を投げる。

だから、死ぬって!

一緒に居るんだから攻撃を受けたら落ちるかどこかに吹き飛ぶでしょ。

キッドは兎に角取返せば満足なのだろう。

――ガシャアン!

窓が割れた。

鉄塊が飛んできたのだから割れもする。

飛んでくる頃にはベポは違う所に居たから当たらなかった。

それを投げた張本人はローによって場所を移動させられていたので、追撃はされず難を逃れた。

走ってはいないが息は止めているようなものだったので深く吐き出して吸う。

こんなにヒヤヒヤさせられるだなんて。

「大丈夫か?」

「な、んとか……」

心配されたが、彼が避けてくれたので無事。

「お前って変なのに好かれるんだな」

それは、お宅の船長も入ってるのかな。

「好きで好かれてるんじゃないです」

「引き寄せちまうんだな」

ベポは一人でうんうんと頷くと違う方向に走る。

どこに向かうのだと聞くと宝物庫と言うので、ちょっと嬉しかったりときめいたり。

宝物と同じ扱いされたら嬉しいでしょ。

放り込めば暫く手が出せないくらい扉が頑丈らしい。

「人じゃなくてモノ扱いか」

放り込むって。

ベポは宣言した通りに放り投げてさっさと去る。

私は逆に外の事がわからなくなり不安でいっぱいなんだが。

体育座りをして大人しく息を潜めていることにした。

―――1時間後

待ちくたびれて寝コケてきたところで扉が開く音に目を覚ます。

寝ぼけ眼で見ていると、ローファーが見える。

「呑気な女だ」

「やることないんです」

「そうか。戦いは終了した。とっとと外へ出ろ」

「はぁ」

から返事で外へトボトボ向う。

静かでなにも騒動を感じない。

「どうやって追い返したんですか?」

「知らないままでいとけ」

秘密主義らしい。

聞く必要も無いのでなにも聞かない。

追い返されたのなら良いや。

ローは後ろから付いてきて、ここへ入れと言う。

従いつつ中へ行くと少しだけ団員が居て、寛いでいた。

なにをするのだとローの方へ向くと自由にやれと指示される。

特に目的を持ってこさせた訳じゃないと。

「よっ。お疲れ」

「ご迷惑おかけしました。トラファルガーさんに代わってお詫びします」

「おれは誰にも迷惑なんてかけてねーだろ」

船員達はやりとりを見てのほほんと笑う。

「冗談ですよね?」

流石に団員たちへのリスクがある。

「おれが決めたことだ。クルーなら従って当然」

うわ、ここの海賊には転職なしだな。

いや、別にするつもりはないけど。

男は一通り会話をこなすとネネカを見て、付いてこいと言う。

用事が無いので付いて行くとローの自室に通された。

え?ここでも?

「脱ぎませんよ!」

「いや、脱いでもらう」

「……ん?」

ジョークで言ったのに思っていたのと違う。

「いやいやいや!否です!」

「お前の頭の中はピンク色か?おれを見てみろ。お前を相手にさせるわけないだろうが」

間に合ってる、と追撃され、背中を撃たれた気分になる。

不愉快指数アゲアゲだ。

「脱げって言ったのはそっちなのに」

「医者が脱げって命令したら大体分かるだろ」

問診のために呼ばれたみたい。

「もっと歳を取ってるか女の先生お願いします。ちょっと若くて顔が良いのは」

「褒めてるくせに完全に拒否か」

「わかってください。悪いのは全て己なんです」

「良いから言うこと訊け」

「お断りしますッ」

押し問答をしていると本棚のところに触れてしまう。

「ん?ポチ?」

押した感触に手を離す。

「ああ、それか。脱出用のポッドだ」

「!ーーーそ、それじゃあっ」

ここから逃げ出せるのでは、と期待に寄せる。

「お前は操縦の仕方知らねェだろ」

「操縦なんて必要なんですか」

「隕石にぶつかったら手動だ」

「SFで見たことあります!」

「なんのことかは知らないが。おまえには無理だな」

繊細を要求されるんならね。

男はまたさり気なく話を逸らされたと彼女に迫る。

「ぎゃ!来ないで!」

「ただの検査だ」

「せ、せめて女の人を」

「ワガママ言うな」

どこが?

ローは己を過信しすぎているだろ。

嫌がってんのにー!

「じゃあ診察するときの服に着替えろ」

「なんでそんな」

「診察しなきゃ連れてきた意味がねェ」

中毒かな。

まるで普通の人間みたいな事を言う。

違う違う、この人は宇宙から来た人。

ネネカは首を降って間違えそうになる前に訂正する。

「私の体を見て分かるんですか?種族も違うでしょうから」

「一通り人間の医学を学んだから気にするな」

えっ、学んだってなに?

「学んでどうにかなる量ではないよーな」

男は宇宙の膨大な知識に比べれば多くないという返答に頭が真っ白になる。

医学が少ないとは、どれだけ宇宙は凄いんだ。

想像もつかない。

急かされて着替えようと動くと船が揺れて体が地面に崩れ落ちた。

「わぁ〜!?」

「……チッ!嵐か!」

嵐と言い捨てて直ぐに飛び出していくトラファルガー。

「ええ!私どうしたら……」

「とりあえず掴まっとけ」

と、言われたので必死に引っ付いた。

ガタガタ揺れる船にローは苛つきつつも部屋を出ていく。

それを見送るしかない非力な娘。

15分後。

揺れが収まったのは結構後だったが、無事に収まる事が出来たみたい。

体感的には1時間くらい経ったような気がしたので、随分疲れた。

今も痛む体を引きずるように歩き、誰か居ないかと探す。


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