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星について船を星の港につけて少し。

甲板で色々キラーが指示を出していた。

それをなんとなしに眺めていると地面に響き渡る音。

――ダン!

「ユースタス屋、最近暴れてないって聞いてるぞ」

おちょくるように登場したのは満をきしてといった様子の、トラファルガー・ロー本人。

船員達は最初ピリピリしたが、キッドが手をあげて武器を抜かさせず、皆は体を緩める。

驚いた、ローはキッドと知り合いだったのか。

ローはちらりとこちらを見てグン、と目を見開く。

あ、今気付いたのか。

ジッとこちらを見ている。

そっちも気になるけど、部屋の中からこちらをちらちら見ているチニリもきになってる。

キッドは女が珍しいから見ていると思って頼んでないのに紹介するので、ゲッとなった。

「なに見てんだ」

「女が何故いる?強そうに見えないが」

「拾ったんだよ」

「拾った?」

ローはうちの内情を知っているので女戦士達はどこだとくるりと見回すが居ない。

「ユースタス屋、おれは知らないからな。巻き込むなよ」

「は?なにいってんだ?」

ネタバレされそうで観察していると扉が内側から開く。

「ト、トラファルガー・ローさんッ」

叫びながら渦中となったチニリ。

なんで見ていたんだろうかと思っていたが、出てくるとは。

もしやイケメン狙いかと呆れる。

海賊が嫌いならば全て拒否れよ。

よもやキッドは論外等とは思ってるのかも。

腹が立ってくる。

こき使ってきたくせに、今更被害者ぶるのが許せん。

ローもなにを述べてるのだと口を不機嫌に歪めて睨んでいた。

そんなに付き合い長くないけど、彼の苛立ちを去っせる。

どう繕っても悪化する気がする。

知らんぞどうなってもな。

ローはこちらを見たと思ったら眉根を下に降下させたまま、フン、とチニリを捨てるように眺め、キッドへ向く。

キッドは不躾で攻め立てるようなねちっこい視線を感じた。

「女もまともに選べないのか」

「ああ?」

「あのぉ、聞いてますぅ?」

チニリのせいでカオスにふりかけかと思うくらいだ。

なんで二人の会話に突撃出来るの?

海賊は怖いんでなかったの。

もしかして嘘ついてたのか。

怖いふりして実は上から目線に出来る相手しか対処しないように考えていた疑惑。

ローは何を思ったのかこちらへ瞬時に飛んできてガバッとこちらの体を掴み更に後ろへ飛ぶ。

「泥舟にいつまでも乗ってる程暇じゃねーんだよ」

彼の台詞にキッドが憤慨し、ネネカを離せと襲い掛かる。

――コォオオオ

(!?……なんで!死ぬよねぇ!?)

諸共な気分なのかもしれん。

巻き込まれなきゃならないなんて。

あ、私は死なないんだった。

加護あるもんね。

でも、目の前で凶気があってまともに考えられなかった。

抱えたままの男はそのまま船に乗り込み、攫おうとするので待って待ってと止める。

何が気に入らないのかユースタス屋が良いのかと女の嫉妬セリフみたいなことを宣うので違うと大声で遮る。

アホらしいので省くが、研修中なのだと言う。

ローは研修の意味を深く考えては、なにを言っているのだと言いそうになったが、止めた。

巫山戯ている様子もなく、かと言って、疲れていると推理して、護衛の女どもはどうしたと聞く。

「かわいい子には旅をさせろと聞いたことがありますか」

「田舎星の言語は知らない」

「怒らせたいとしか思えないです」

ネネカを貶しているように聞こえて、青筋が浮くが我慢する。

キッドも直ぐ来そうで時間がない。

「どう言えば良いのかわからないんですけど、彼女達に勉強してくるよう送り出されたと言いますか」

「あいつらはそれで良いかもしれないが、巻き込まれた方のデメリットが可笑しいぞ」

なにかあれば壊滅だ、と男は語る。

キッドは何も知らないのだと告げ、最悪じゃねーかと言われる。

トラップと知らないまま踏むのだ。

ローはそれについて語っているが、こちらとしてはアウトローなところに放り込まれているのでお互い様である。

「兎に角お前はうちに来い。あいつらも歓迎する」

ローのところはそんなに懇意ではないが、ネネカならば溶け込めると言われ、ローの船へ拉致られた。

行けば、お前か~と歓迎される。

船長の言葉通りに、仕込んでるんじゃないかと疑ったがさっさと彼は部屋に籠もってしまうし聞く機会が失われた。

なんだかんだと世話を焼かれてしまう。

迸る美女達の甲斐甲斐しくされるデジャヴュを感じる。

凄く覚えがあるぞ。

みんなはこちらを気にすることなく好きなだけ構いまくる。

服を宛行われたり、カードゲームに誘われたりで暇がなく、ローの所にいけない。

それより、キッドたちはあのままで良かったのだろうか。

「あの、ちょっといいですか」

皆がこちらを向く。

「皆さんはユースタス・キッドに追われるかもしれないんですよ」

船長から聞いていないとイケないと忠告する。

「んー、と、言われてもなァ。お前には大っきな借りがあるからな」

「えっ?借り?」

なんのことか。

「ほら、あるだろ?おれ達がお前に負けたのに、傘下にもさせず解放した」

「……あ」

思い出した。

すっかり忘れてた。

なんせ、その後に故郷に戻れると知ってしまって、てんやわんやなてんてこ舞いだったから。

なんだかんだで、色々可愛がられていく。

「こうやってやってけてるのは幸運だった」

「私は自分が偉いとは1ミリも思ってはないですから、気にしないで下さい」

「でも、ま。気にすんな」

グシャグシャと髪を乱されて撫でられる。

少し青春の香りがするっ。

恥ずかしくなって俯く。

嬉しいのかもね。

と、甘酸っぱく感じたので話題を変える。

ーービーッビーッ

「え?え?」

「お、襲撃かァ」

「はい!?」

皆は慣れた様子で立ち上がる。

「行ってくるか」

「わ、私は……」

お前はここに居ろと言われる。

自分を追ってきたのか、ローを追ってきたのか相手の審議は知らないが、キッド海賊団だぞー、という呑気な声が聞こえる。

「久々に暴れられるな」

盛り上がる面々に、彼らは楽しんでいるらしいと知る。

バタバタと足音が遠ざかってきて、不安を抱いていて、見に行くことにした。

コソッと外が見える窓から見ることにした。

船の中を知らないから外への窓を探すのは大変だったが無事に確保。

見た時には乱闘に発展していたので、乱闘を上から見るのは初めてだ。

さっきワシャワャしてくれた男性も居たので拳を握る。

ローも能力を使って、キッドも能力を辺りにぶつけている。

怖い、普通に怖い。

地面が揺れている。

こんなに激しいのか、と鬼気迫る気配に縮む。

「トラファルガー!あいつはどこだ!」

さ、探してる!

私を!

でも、なんでだ。

別に強くないし、役に立ってないのに。

疑問は尽きない。


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