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キッド達は楽しそうに戦っている。

根っからの戦い好きらしい。

とんでもねー男に目をつけられた女達はバカにされたと言わんばかりに攻撃を仕掛けている。

「聞いたぜ?そっちの船長は大層性格の悪いいかれた女って話らしいな」

昔の船長らしいその話題。

団員達はそれを鼻で笑って攻撃を弾く。

語ることはない、って返しかな。

和服を来た女団員が魔法を唱えて二人の敵を吹き飛ばす。

着ぐるみを来た子はその太き手で猫パンチを繰り出して強そうなガタイの良い男を倒した。

何気に強い。

「ハハッ。聞いてたより強いな」

次々船員達が倒れているのに余裕そう。

船員達は警戒しているのに。

ということは、なにか切り札があるのかも。

そう思っていると金属がぞわりと浮き、彼の手に集まっている。

「ね、ねぇ」

傍いる護衛に慌てて言う。

「はい、なんでしょう」

「あれ、凄く危険な感じがするしどうにかした方が良いんじゃ」

「そうですね」

女性はすんなりうなずくとテレパシーを使って船員達に伝えていた。

魔法とかスキルとか知らないけど、便利。

ユースタスが武器を集め終わる前に一人がなにかを投げつけて、彼はうめいて倒れた。

周りにいた船員が動揺して、それにすかさず彼女達は攻撃をして倒す。

皆こちらへ集まり、一人が大きな声で言う。

「今回は見逃してやろう」

そして、皆で転移をした。

こういう時、人数が多いから直ぐに大人数で移動できて楽。

それよりも、海賊に手を出して平気だったのか心配になる。

彼女達はにこやかに警備の会社に連絡しておいたとのべる。

それならこちらに構う余裕もないだろう。

休憩したいので部屋に行くと気絶するように目を閉じた。

目を開けると夜になっていた。

食堂へ行くと美味しそうなご飯があって沈んでいた心が咲く。

やっぱりインドアが最高。

「船長、トラファルガー・ローからお電話です」

どれにしようかと悩んでいると電話を渡されて困惑した。

「……はい」

『聞いたぞ、ユースタス屋とドンパチしたらしいな』

新聞にもまだ乗ってないのに何故知っている。

「こちらからしたわけではなく、向こうからでして」

『だろうな。見てみたかった』

「お話は、以上ですか」

もう切っても良いだろうかと目を細める。

まァ待て、と笑いながら言われて何故笑うと内心腹立つ。

『おれ達もその星に向かっている』

「え、あの、誰かが警備に電話したので追われちゃいますよ?」

『雑魚に捕まる程弱くねェ』

「貴方の部下達が」

『捕まったら見捨てる』

「酷すぎません!?」

「うちはそういうルールだ」

厳しさ可笑しい。

わざわざ自分達を捕まえる側がいる星に来て捕まったら自己責任とか重い。

「はぁ、お好きどうぞ」

どうなっても責任取らないからな。

ローの機嫌の良さそうな声にげんなりした。

ほんと、騒動が好きなのか。

首を突っ込む必要性を感じないのだが。

電話を切ると内容を聞いていた女が笑ってない瞳で「やつが来たら潰しますわ」と呟いていた。

でも、宇宙って不思議でさ、犯罪者であろうと実力者ならば雇ったりするのは良くあるみたいで、傭兵やらと扱い変わらないってさ。

警備の側が不憫ならん。

ロー達は海賊なのに頼られることがあって、お金も手に出来る。

名声も売れ、新聞には活躍を書かれる。

理不尽だろう。

それだけこの宇宙の治安が良くないからだけど。

犯罪者に頼もうと思うくらい人手不足。

次の日、ドレークの依頼を頼まれていた日なので言われた場所に向かう。

昨日の騒動を知っていて大丈夫かと心配してくれた。

この人良い人だ。

目がうるうるする。

本人には見えないから潤っているのが見せられないけど。

電話してきたローなんて笑ってたのに。

先に心配が来るのが普通なんだよね。

ドレークの団員達も揃っていて、それぞれ挨拶してくれて、こちらも頭を下げる。

ここからはもう出番はないので、挨拶だけはしておかなくては。

で、挨拶しただけで皆ざわついた。

後ろで美女達が睨みを効かせていたのでそれ以上ざわつくことはなかった。

なんか思ったよりもびっくりされて、こちらが落ち着かない。

油の差してない金属のような雰囲気で出発した。

最初は順調だったが町の外に出ると獣なのか機械なのか分からない生物が歩いていて、ヒシ!と護衛に抱きついた。

「ひゃ、船長」

最後の語尾にハートマークを付けた護衛が悶えてネネカをおんぶした。

この歳でこれは恥ずかしいかもしれない。

でも、今はそんなことを感じている時じゃない。

まさしく命の危機を感じる。

ドレーク達はこういうのに慣れているのか怖がってなかったが、護衛依頼した冒険者のリーダーが突然飛び上がり、女に抱きついたので驚いていた。

男達は怖がっていることを理解して、船長の筈なのにと困っていた。

「君達の船長は大丈夫なのか?」

その様子を見ていた男は船長として聞かねばと思う。

帰ってきたのは冷たい瞳とどうでも良いと言う高圧的な顔。

「私達に死角はございません」

ユースタス・キッドを一時倒したと聞いているので実力は疑う余地もなく、震える女をちらりと見て、再び歩を進める。

彼の仲間達も気になるのか見たがるが女達は視線を無視して居るので和やかなことにはならない。

今は怯えている少女を甘やかすことが一番の優先順位だ。

「船長、甘いものはいかが?」

「お歌を聞きませんか?」

「楽しいお話もございましてよ」

まるでハーレムだ。

しかし、怯える女には彼女達の甘やかしに対応する豪胆は備わっておらず首を横に振るのが精一杯だった。

次からこういうのには連れてこないようにしなくてはと決められた。

ネネカも願った。

こんなに怖いなんて思ってなかった。

ファンタジーの世界の冒険はもっと、少しずつ敵が強くなったりして自分も強くなる。

なのに、外に出たら出たで、レベル100を越しているのであろう見ためのなにかが徘徊していた。

これが宇宙。

地球ならば弱くともいけたことが、宇宙レベルになると無理だった。

護衛の女達は襲いかかる機械みたいな生物を潰したり両断したりして仕事をこなしていく。

ドレークの観察により、やはり船長ではないのではと思い始め、摺り変わったのではないかと疑っている。

真実は只の船長の交代。

そこに陰謀もなにもない。

ネネカはドレークの視線に気づくことなく、破壊されていく敵に悲鳴をあげる。

誰かに見られていることなど気にする余裕はない。

「ここまでこればもう居ないわね」

団員の一人が呟けば、町の入り口にいた。

別の町だ。

ぐったりし過ぎて吐きそうだ。

地球の出身からしたら早すぎた体験だったらしい。

もう外に出たくないよと涙が出た。

ドレーク達も無事、道を通り抜けられたことに安堵する。

届ける相手に届けてくると言われて別行動になった。

もう通りたくない。

帰りはテレポートにしましょうと優しく言われてこくりこくりと頷く。

30分、町の中を歩いてアイスを食し、ドレーク達に報告を受ける。

届け終わったらしい。

帰りは自分達でかえれると言っていたので、心残りだったので良かった。


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