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カフェに案内されていく。

ネネカは護衛を一人つけて歩く。

自分だけでは不安だったから助かる。

ドレークは護衛について特に言うこともなく、道を行く。

カフェにたどり着くと適当に座る。

「では、話をしよう」

男は改まって内容について教えてくれる。

仮に内容を聞いても戦うのは彼女達なのだから、持ち帰ることくらいだろう。

受けてくれないかと言われたものは、ドレーク達の受ける依頼を手伝ってほしいというもの。

なにをするのかというと、この町にある建物の魔法アイテムを回収することらしい。

回収する依頼を自警団に近い人たちがするのは普通なのかな。

黙って聞き終わると交渉役としてもついてきた護衛が話を次ぐ。

「良いでしょう」

(良いんだ……?)

「承認してくれるんだな。ありがとう」

ドレークは長にしてはしっかりと頭を下げた。

真面目で紳士だ。

情報に違わずちゃんとした団体らしい。

感心した。

こっちは宇宙であたふたしているのに、取り組んでいる様子は尊敬する。

ローも宇宙で活動しているし、皆凄い。

自分は臆しているので無関係だが。

「契約書は持っていますね」

フォロー役が進めてサインする。

彼女がOKするのならばこちらはなにも言うまい。

それを見届けていたドレークは機嫌が良さそうに手を差し出した。

握手を求められているのかと手を差し出そうとする。

だが、彼女が先に手を取ってしまい空振り。

これは、どっちだろう。

私にさせたくなかったのか、彼女がしたかったのか。

彼はびくりとする。

迫力のある顔と物を言わせぬ握手で余計なことを言わない方がいいと思っているのかもしれない。

うん、それが正解だ。

因みにネネカは知るよしもないが、彼女達にここまで崇められるのは彼女達に永遠の奴隷から解き放ったからだ。

彼女が思っているよりも自由の重みは違う。

落ちただけと思っているが、それがなければずっと囚われて死ぬまで解放されなかった。

かつての元船長を倒したので美女達の所有権は今の船長に譲渡されるのが決まりだが、彼女は自由にしてていいとなにかにつけて言うので、実質解放だ。

なにをしていてもなにも言われぬことに多大な恩を感じている。

しかし、宇宙を知らない女に決まりを言っても常識と倫理観が違うので受け入れることは永劫ないだろう、と全員で話し合っている。

所有を押し付けることを苦痛に感じているとの報告に今後、支配されたとしても構わないというのが共通認識。

全員で慈しんでいこうとなった。

そんなことは知らない女はドレークの手について心配していた。

つぶれやしないだろうかとヒヤヒヤしている。

こっちは強くとも向こうが攻撃してこないとも限らないでしょ、という小者だ。

めちゃくちゃビビッていた。

ドレークとそろそろ手を離せば解決する。

護衛についていた団員は過去の回想を終わらせて手を漸く離した。

「もう行っても?」

フォロー役がドレークに確認すると彼はかくんと首を振る。

刺激してはいけないと察したのか。

やはり苦労人だぁ、この人。

深く深く同情した。

船に戻ってくると違う団員がスマホを手に見せた。

「船長、スマホを改造しましたのでお返ししますわ」

一言も貸すとも言ってないのに帰ってきた事実はスルーしよっと。

スマホをポシェットに入れてしまう。

今日は昼から例のコンテストをするので参加するらしく、観戦を頼まれている。

楽しそうだ。

最近、少しだけこの人達とコミュニケーション出来るようになったので情は沸いてると思う。

皆優しいし、好きにならない筈がない。

船長扱いだけは解せないが。

「行きましょう」

「うふ、楽しみに」

「やぁね、気が早いわ」

かなりの人数が船から流れるので波に飲まれたのではと思ってしまう。

胸の弾力に気絶しそう。

(うわぁ、男だったら嬉しいんだけど、私は女だから)

ただ、苦しいだけ。

あと、ウラヤマシイ。

胸に、人に流されていった先にコンテスト会場があって、人がいっぱい居た。

彼女達がコンテストにエントリーするのを見られていたのではと推測する面々。

それならこんなにたくさんいるのは納得。

ぎゅうぎゅうの観客から一点、ある場所だけ異常に空いている箇所がある。

真っ赤な髪をした男人や仮面をつけた人、ハロウィンを彷彿とさせるヴィジュアルの集団。

こっそりあれがユースタスです、と教えられ、怖くて仮面の中で泣いていた。

目をつけられたくないよおお。

美女の船員に抱きついて保身をはかっていた。

無意識化の行動だったので喜ばれていたことを知り、そっと離れた。

きっと彼女は疲れているんだ。

有給を取れば良い。

フリーの冒険者にあるのかは謎。

ユースタスは美女達に注目していたので、こちらには気づいてないようだったのが救いだ。

気づかれていたら絡まれていただろう。

始まったコンテストは団員達の独壇場だった。

空気でもう優勝は絞られている。

キッド達の視線が強くなっているのでいつか声をかけてきそう。

優勝したのは勿論団員達の一人で、その優勝商品と賞金を持って意気揚々と帰ってきた。

イスに座っているので彼女達は無論ここへきて止まる。

「船長、やりましたわ」

「良かったですね」

おめでとうとの言葉と共に告げる。

労り船長である。

と、喜びあっていると野太い声が聞こえ背筋が張る。

こ、この声は。

いつかだろうとは思っていたが、今とは。

キッドはのしのしと仲間を引き連れここへ来る。

たくさん居た人たちは巻き込まれぬように道を作っている。

見てないで逃げてくれれば良いのに。

逃げたいけど、私が逃げたら色んなことが悪化しそう。

隅っこで会話を聞く。

更に目の前に来てしまい、優勝した団員を見つめたまま止まる。

近くで見ると怖さが違う。

近寄りたくないのに動けぬ。

「強いって噂は聞いている」

美少女達は一言も話さない。

白けた目をひたすらしている。

早く終わらないかしらと思っているぞこれは。

気付いてくれ、キッドさんよ。

祈るが諦めてくれる気配なく、無情にも「おれの船に乗れよ」と宣告した。

戦いの宣告に聞こえた、少なくとも私は。

少しでも空気読んでくれたら争いは回避出来たやもしれないのに。

顔を青ざめたのは自分だけでなく観客もだ。

「お断りよ」

「力ずくでやっても良いんだぜ」

海賊、あー!やだやだぁ!

すぐそうやって言う!

お陰で団員達の争いの火がついてしまったではないか。

ネネカは縮こまったままそれを聞いていて、団員達がなにも言わず静かに武器を出すのを見ているしかない。

皆喧嘩っぱやいよ。

先ずは先に海賊団の下の人たちが攻撃をしかけて華麗に避けていく。

観客達はわらわらと離れて逃げていく。

これヤバイよね。

海賊と喧嘩して良いのかな。

いや、悪い人たちを捕らえようしているって誤魔化そう。

でないと只の戦いになってこちらまで権力に捕まってしまうぞ。

どんどん広がっていく戦いは激しさをましていく。

人数的にこちらが有利だから良いものの、怪我したらどうしよう。


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