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てくてくと皆と連なっていると酒場が爆発して、目前で建物の一部が崩れる。

団員達は素早く己を囲い守りの体勢になる。

何が起きているのか全く見えなくなってパニクると、彼女達は大丈夫ですよと宥めてきた。

ごめん、不馴れで。

荒事にびくつくのは仕方ないのだよ。

星に行く度に毎回こんなトラブルがあるのなら大人しく船で過ごしたい。

ぶるぶるなる体をもて余していると男のドスのある声音が聞こえた。

どう聞いても「なんだ」と威圧感のあるもの。

怖い誰かが迫ってるんじゃないのかと怖い。

震えている間に相手と押し問答っぽい言葉で参戦している誰か。

相手はわからん。

背的に皆高いから状況が不明。

飛んでも下から見ようとしてもダメ。

「どっかで見たことあるな。キラーなら知ってるが」

男の独り言に誰も反応しない。

「退け」

彼女らは争いをするつもりがないので緩くぞろりと移動する。

その際にネネカを隠しつつ移動。

怖い人が近づいているのを感じて息を浅く吸う。

バレない方が良さそうだ。

「やっとやつが行ったな」

誰かが言う。

それに皆あちらを向くとこちらへ視線をやる。

驚異が去ったみたいで良かった。

やつはユースタス・キッドですと説明してくれる。

さっき暴れてた危険人物だった。

あっちでもこっちでも、なにかを破壊していた。

お近づきにはなりたくないや。

トラファルガー・ローと良く比較して記事を書かれる事が多いらしい。

二人とも若いから新聞が盛り上げたくて書くのだろうか。

恐ろしい真似を良くできるな。

その新聞社に乗り込まれるとか考えたことはないのか、命知らずな。

「次の店に行ってさっさと引きこもることにします」

心が折れる。

やっぱり危険がいっぱいな治安の悪さだ。

ぼやくとこの星で今コンテストをするらしく、珍しいアイテムが手に入るのだと言われ、それだけは見に来てくれと言われた。

晴れ舞台なのだから見に行きますよと笑みを見せる。

張り切り出す美女を横目に治安の良い地球が良いかもしれないにと溜め息をついた。

所詮地球出身には厳しい事だったわけさ。

「楽しみにしてます」

というと、更に盛り上がる。

かわいい人たちである。

それだけは確実に癒された。



次の日も繰り出すことになった。

下着を買うからだ。

なにやら可愛い下着を試着して欲しいと猛烈に頼まれて、断れないので付いていくと、ポップな下着を売るランジェリーショップへと吸い込まれる。

どうやら本当に自分の為だけに見つけ出したらしい。

マメというか、がんばるなぁ。

「全て着てくださいませ」

全員が下着を手ににじりより、選択肢を間違えたと悟る。

安易に良いよと言わなきゃ良かった。

これからエンドレスな着せ替えをさせられる。

冷や汗に誰も気遣ってくれない。

船長なのに船長扱いされてないやつ。

始まった着せ替え時間は本当に一日消費された。

皮捲れてないか心配だ。

私の皮膚のことだが勿論。

ヒリヒリし始めたら回復の魔法を使える人が回復するから傷なんてないけど、感覚的に残ってる。

もうこれから先の下着に困らない程度は買っていた。

下着の次は私服になりそうな予感。

「でも、楽しかったなー」

ああいうショッピングは故郷では体験出来ないからね。

そう思えば貴重な体験が今では当たり前になっていたのか。

幸せものだな。

「船長」

部屋でのんびりゴロゴロしていると呼称を呼ばれて部屋を出る。

出ると中華な服をきたエチゾチック美女が居た。
豊満なお尻に目が行きそうになるがセクハラなので我慢。

「な、なんでしょうか」

「船長にお客様です」

「え?誰が……知り合いなんて居ないし」

「X・ドレークです」

(なんでだぁ!)

いきなり有名人が訪問って。

「顔は見たことがあるけど面識ないよ」

「私達もどうしたものかと臨戦体勢になってます」

(戦う気満々なの?そこは穏便でいこうよっ)

巻き込まれたら責任取るのは私ですよ。

「お腹いたいから無理かもぉ」

嘘は言ってない。
ただ、腹痛を今現在起こしている。

「船長のご意志のままに」

頭を下げた女はするすると音を立てずに去る。

どうするのだろうかと不安だ。

もしかしたら酷く断るかもしれないと想像してしまう。

ちょっと付いていこう。

やはり立ち上がって彼女を追う。

追いかけて今でも追い付けるかわからないけど。

なんせ、彼女達宇宙アマゾネスだから、力の差とか凄いから。

足の長さも違って早さも違うし。

付いていくともうすぐ出口に行くところで、呼び止める。

立ち止まった彼女はどうかしましたかと笑みを浮かべる。

眩しい。

その笑みには親愛が宿ってきてむず痒い。

そういう顔を見せられることをした覚えがないからこそ戸惑うのだが。

柔らかな綿みたいに心が脆い私にとっては全てが刺激的な劇物だ。

だからこそ、この船にひきこもるんだどさ。

その人の船にやってきた人、ドレークはどうしてここへきてしまったのか。

来ないでほしいという願いは全く届いてない。

なにか用事があって帰ってくれればいいのに。

共に行くと行って、仮面をつける。

地球に居たときにまなんだよ、わたしもな。

素顔は晒さないって。

二人で向かうとドレークを囲むようにうちの団員達がくるりと取り囲んでいた。

知らない間にめっちゃ大事になってた

あのまま出てこなかったら宣戦布告と勘違いされていたかもしれない、恐ろしい。

「君達の船長に会わせてもらえるのか」

「船長は会ってくれます」

「そうか、で、どこだ」

仮面をつけた女を案内していた女が目に入ったドレーク。

女が退いて仮面を知る。

仮面に目が行く。

麗しい美女達に囲まれているだけだが、落ち着かない。

あまり得意な場面ではない。

一人で来るのは早計だった。

命の危機とは違う冷や汗をかく男。

ドレークを見ている仮面女は、そろりそろりと顔を上げて怯えているようにも見える。

この船、いや、この集団は少し前から有名だ。

主にこの集団のトップの女がとんでもない厄介な性格をしていると聞いた。

しかし、そんな気配もなくまだなにも言わない。

美女達の忖度をしてるつもりのネネカはドレークを観察して、どういう人か見ている。

「もしや、君が船長か」

ドレークの問にびくりとなる。

「……はい」

ドレークが前船長についての性格を噂で得ていたことを知らず、静かに答える。

その奥ゆかしい声に男はまじまじと仮面を見つめる。

「本当に君は、その、この船の船長か?聞いていた、ものとは……」

高飛車とは言えず、濁す。

「船長です」

影武者でも用意されたのかと周りを見る。

しかし、反応は思っていたのと違い、皆が皆、顔をうっとりさせている。

船長だなという確定を後押ししている。

「本物なのか」

「はい」

余計な情報を取らせぬように答えをシンプルにさせる。

「そうか……君に話があるのだが」

「なんでしょうか」

なにを言われるのか。
身構えていると、彼は依頼を受けてくれないかと言われる。

「具体的に話したいが、どこか落ち着ける場所でしないか」

どこに、と思っていると町にカフェがあるからそこにしようと言う。

美女達はドレークに羨ましいという視線を向けていて、それに気づかないドレークは訳のわからないプレッシャーに肩身を狭くしていた。


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