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- ナノ -
04
ホラーな事態になって既に15時間経過。
襲われないと知れた今、船に行き連絡をした方が良いと思うものの、船の操作をした事のない自分が連絡なんて出来る訳がないと思い、一旦違う事を考えた。
次に現実的なのは船員を探して護衛しながら向かうことだ。
しかし、その肝心な乗組員が居る場所は分からない上に、この装備を見られて騒ぎそうな人間とかち合うのも面倒だ。
そういう人間に限って精神が狂いかけて恐怖を引きや寄せ全滅させるのはホラーではお約束なのである。
もし行動するのなら冷静な人だ。
だが、襲うやつが襲ってこないのを見られるのも面倒だからやっぱり一人で良いや。
ほぼ使い道のないアイテムを具現化する能力がこんなところで効果を発揮するとは。
アーチェリーなんて使いどころないでしょ。
思いがけずな感じだ。
アルはサクサクと歩いていくと襲われている人を発見した。
アーチェリーでゴスッと倒す。
黒い靄は悲惨し残った物を手に取る。
……あめ玉。
ゲームでもあめ玉だったし、HPの回復に使えた。
非常食にでもなるだろうか。
初めて倒したが、こんな感じなんだなー。
助かった人は女性だったが、部署が違うから見覚えはない。
女性の戸惑った感じで漸く、この建物が暗いと分かった。
だとしたら、ここに居る生身の者達は出歩くのは危険なのではないか。
誘導するのも大変なので次へ進む。
実はアーチェリーを当てたことで思わずな行為に自分でやったくせにドキドキしていた。
冷や汗が止まらない。
襲われている所を見て動揺した。
ゲームみたいに、ハイハイそういう設定なーって気持ちにならない。
死んだ人にフラグ立てちゃってたもんねっていう余裕もなし。
適当な部屋を選んでそこで寝る。
寝てばっかりかと思われるが、数分の探索だけでも神経質になって疲れやすくなっていた。
疲れた、と肩を揉むものの全く疲れが取れない。
アメを試しに食べてみようと思ったが、ホラーの怪物が落としたものを食べるのは気が引け、回復薬を飲んだ。
うん、心なしか良くなったかもしれない。
精神疲労が激しいせいで分からん。
誰かあめ玉食べてくれないかな。
機会があったら食べさせよう。
ゲスなことを考えつつ、部屋にあった食べ物を見ていく。
流石ホラーゲームの世界、腐ってない。
リアルならとっくに悪臭放ってるやつだ。

――ガン

――ゴン

ふと、窓を見ると変な光景が広がっていた。

――ドスッ

一人の男が霧が充満する野外で忍者みたいなアクロバットなことをしながら武器を握って猛攻していた。
あれ、なんだこれ。
どこかのアクションゲームでも乱入したか。
目を疑ったまま見ていると這い寄る恐怖が飛散する。
嘘、あれをやっつけられるとか。
でも、やはり一撃でどうこう出来ないようだ。

――トサッ

相手が気付いていないのを知り、さっさと窓から離れた。
あいつ、人間なの?
あんなサバイバルな行動普通出来ない。
偶々社員に勇者でも紛れこんだんでもあるまいし。

――コンコン

「ひっ!?」

びっくりして窓を見るとさっきの男が目前に居て、こちらを見ていた。
見ていたのがバレていた。
あわあわとなるが、どうしようと思考。
このまま対応するべきか。
今は非常事態故に正しく対応する事が良いことではない。
ホラーゲームではどんなことでも疑問を持たないと、なんでもありな世界なのだし。

「開けろ」

「お断りします」

考える前に答えていた。