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「#エロ」のBL小説を読む
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- ナノ -
03
この世は悪意が具現化して現象として起こる世界。
普通なら行く世界というのは異世界だったり恋愛ゲームの世界だったりする。
それがラノベの基本だ。
しかし、ホラー系の世界にトリップというジャンルは、いくら色んな小説を読むアルだって読んだことはなかった。
そもそもホラーゲームと小説では雰囲気も違うし、スプラッタなグロくてリアリティーのあるホラーゲームは苦手だ。
やるゲームはもっぱらビット感のある方の絵柄ばかりだ。
美麗なスチルが挟まれるゲームもある。
ホラーゲームはホラーゲームでも、誰でも出来る方のやつ。
リアルなのはノーセンキューなわけだ。
夜にトイレに行けなくなるし。
それに、コントローラーを握らされても恐怖で一歩も動かせないだろう。
ホラーゲームの映画化も気合いの入ったのとか無理だ。
怖くて見れるわけがない。
アニメならなんとか。
と言う具合のなんちゃってゲーマー。
ぬるい方のほんわかゲームが好きだ。
ただ、さっき追いかけていったやつが出てくるゲームだけはやりにやりこんだ特別なゲーム。
何度やったかもう覚えていないが、シナリオが面白くて思い出したらやるということを繰り返していくうちにステージも覚えていて、それくらいやりこんでいる。
だが、別に有名どころではなかった。
普通のゲームだ。

「偶然?なわけ、ないか」

この世界に微パラレルワールドとして変化したこともあり、どう考えても誘導されている。
何か、見えざる存在に。
しかし、オトハの今までの言動のせいで分からなくなっていた。
どうやらオトハもずれた違う世界に居たみたいで、ここをどこかの乙女ゲームと思っているかもしれない。
言動が悪役の感じだし。
でも、主人公が会社勤めって珍しい設定だ。
スマホゲームくらいでしか見た事がない。
据え置きや携帯は学生とかが多いのだ。
逆ハーレムを作るところを見ているとその可能性しか考えられない。
でも、自身のこのアイテム能力はなんなのだろうか。
やはり、ホラーゲームの世界だからアイテムが出てくると考えると納得出来そうだ。
魔法に見えて、実はゲームに良くあるアイテムの収集用アイテム欄なのだとしたら、出てくる。
オトハも乙女ゲームのアイテムはないのだろうか。
しかし、そんな素振りは見た事がない。
もしかして、料理が上手とか異性との会話が上手いとか、そっち系?
それ、ホラーゲームじゃ逃げてない時でもないと発揮出来ないんじゃ。
まぁ、赤の他人の女の事を気にする義理もないか。

「キャアアア」

叫び声があちこちから聞こえる。
どうしよう、と思っていると建物が目に付く。
エクストラワールドの世界なら建物は綺麗だしセーフティゾーンもあったからそっちの方が良さそうだ。
アイテムである【万能のアーチェリー】を構える。
アーチェリーなどやったことなどないが、アイテム説明には加護により一度放てば外さぬと書いてあった。
なんか映画みたいな装備だな。
ゲームでは一撃では倒せない襲ってくる敵を一撃で倒せたりする。
体の装備も色々着けておいて、万全を期す。
よし、と中に入ると中は明るい。
声が聞こえる方に向かうと女の金切り声がくぐもって聞こえる。
追われてるのに大声出せるって命を投げ捨てるのと同じなのでは。
居場所がバレてしまう。
向かう中、また這い寄る恐怖が通りすぎる。
なんだろう、全く襲ってこない。
今甦った記憶の中に、周回したり最終回までやった人ようにおまけ部屋なステージもあって、もしかしてそういう感じなのか?
ダメだ、全て憶測に過ぎない。
分からない事が多すぎる。
でも、襲われないっていうのは凄く楽だ。
襲われるのならこの世界で生きていくのは無理だろうから。
後ろから社員と思われる人が手を壁につけて歩いていた。
あれ、もしかして、見えてない?
取り敢えず部屋を確保して寝よう。
疲れがどっと襲ってきた。
まさか、小説でいうパニックホラー系の体験をしてしまうなんて。
自分の命優先でないとこんなところ、発狂してしまいそうだ。

「どうしてよお!?」

また金切り声だ。
あ、這い寄る恐怖が声の所に向かっていった。
叫ばぬ方が良いな。
一つ勉強になった。