×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
01
え?ここって■■■の世界じゃないの?
■■■ゲームだと思っていたからなんか可笑しいなって思ってた。
でも、勘違いとかパラレルワールドとか二次作だと思ってたし、だから、安心していたのに。
変な女に絡まれてウザくてどうやって仕返ししてやろうと思っていたら、更にめんどいことになった。
ことの発端は、ここが自分の居た世界とはちょっと違うことに気付いたことだった。
悪意のある世界で、それが常識だと浸透しているところとか。
恋愛面において、逆ハーレムやハーレムが当たり前にある世界だとか。
勿論、浮気も不倫も推奨されないから、そこは矛盾してるよなぁって思った。
OLになったのに、同期というだけで雑用を押し付けられるようになって一年。
まだ新人であるから仕方ないにしても自分のはしろよと思う。
ああいうのを世渡りが上手いとか言うんだろうな。
ゲームばっかしてて裏方大好きな自分とは大違いだ。
それにしても、その同期の子が逆ハーレムを築いていて、やってらんねーわって思う。
巻き込まれたくない。
今日だって社員の慰安旅行だって感じで、部署のいくつかで客船にてパーティーをしていた。
暇なので誰も居ないところで寛いでいると、こちらに気付かないカップルが現れていちゃつきだした。

「たーくん。酔ったみたい」

社会人になってまで小さい子のように呼ぶ女も女だけど、その女にデレデレな男も男なんだよなー。
しかも、これで恋人ではなくお友だちって言うんだから呆れる。

「オトハ、こっちに頭乗せろよ」

社内でも人気の高い男の一人だったな。
一人でもイケメン分けて欲しい。

「でも、重いから」

「んなの気にならない」

気にしろ、周りを。
そんでもってうちは社内恋愛も禁止ダゾ。
社内の男の大半に好かれているが、女には嫌われているというどこの狐だろうと言いたくなる。
でも、被害を受けている一人とあって、否定出来まい。
寧ろ、もっと悪い評判増えて会社から謹慎を受けろと思ってしまう。
ようは、大嫌いだ。
同期というだけで比べられる。
ほんと、やってらんねーんです。

「きゃっ」

女が叫んだのは船が揺れてふらついたからだ。
あー、それってわざとだよね?
見ていると女がこちらに気付いて震えた。

「やだ、見られてる……怖い」

「え?……なんなんだ?」

いや、お前らが後から来たんであって、とイラつきが増す。
人を悪人にしやがって。
それくらい想像に容易い筈なんだがね。

「あっちへ行こう」

男が庇うように歩き出す。
お前、友人の癖してその女の同期くらい覚えろよ。
ちょっと考えたら分かるってえの。
もう、ほんと、むかつく。
この世界に来てから出来るようになったアイテムというものを具現化して使えるようになった、アイテムを取り出す。
イラつきを平常心に戻す為に【回復薬】を飲む。
これ飲むと精神が落ち着くんだよねえ。
こんな風にここへ来てから不思議なことが起こるようになった。
しかし、こういう世界に作り変わったのなら受け入れなきゃ、自分が異物と思い続けてしまう。
そんなことを考えて己にストレスを与えたくない。
船の中へ集まるようにアナウンスが聞こえたので皆が集まる場所へ行く。
ここへは色々仕事を教えてくれる先輩達が居ない。
居るのはあまり会ったことのない人達ばかりだ。
ここにも何か目に見えない力があるような、気がする。
偶々な気もするが。
船の中を進むと会社の時期社長と噂されている御曹司が居た。
御曹司と言っても中の下くらいの会社だから、金持ちは金持ちだけど、セレブとまではいかない。
その男性が、例の同期であるオトハの肩を抱いてステージへ上がっていた。
うわあ、嫌な予感。

「皆にも紹介する。オトハとは婚約して、彼女とは結婚する予定だ」

玉の輿かー。
さっき別の男の方にぺとっと張り付いていた癖に、粉かけてたんだね。
まぁ知ってたけど。
未来的にオトハが奥さんってことは社長婦人。
この会社傾くな。
てか、終わったら辞表書かなきゃ。
というか、今の社長が果たして次の社長のポストを長男に譲るのかねえ?
そもそも、噂は噂で、未だに指名されてないって、実はその弟が次の社長だったりして。
で、今回の発表はこの男を社長にしないと言外に伝えるための策略だったりして。
prev * 1/12 * next
+bookmark