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- ナノ -
09
ローは消滅させるとなんでもないような顔でさくっと戻ってくる。
聖弓のような武器もないのに単独撃破するなんて。
異界とやらで力をつけたのか、何か物でも持っているのか。

「行くぞ」

彼は慣れた足取りで次の部屋を調べる。
そこにもなにも手がかりになるものはなかった。
哀愁の漂う部屋で確認作業は暇になる。
濃厚な濃い空気も感じられるかもしれない。
加護のようなものに守られているのでふんわりとしか感じられないけど。
感じようとして意識しないと分からない。
途中の部屋でレバーがあり、いかにもワナな物体に本当にゲームだなと現実味のなさを感じた。
普通、カラクリ屋敷でもない限りでかでかとレバーなんて設置されていないと思う。
この乙女系ゲームだかホラーゲームだかと訳の分からない世界観を混ぜ混んだ場所に普通を求めてはいけないのは分かるが、あからさま過ぎてどこかにないかとどっきりカメラを探してしまう。
しかし、第三者が潜んでいることもなく、無人な部屋で突っ立っているしかない。
どうしたものかと思っていると詳しそうな男がこちらを向きクイッと手先をレバーの方へ向ける。
これはアルがやってこいと言っているのかと驚く。
素人の一般人にやらせようとするなんて信じられない。
それが顔に出ていたのだろう、彼がうんざりした顔で言う。

「お前は所謂防弾チョッキを着ているのと変わらない。おれはその点、デメリットなよそいき」

「絶対嘘ね。専門家が無防備に来るわけない」

「まァな」

のらりくらりと答えるので凄くイラッとした。
平気で人をパシろうとするのがあの女と重なり不快感が増加。
やっぱりこの男は信用ならないなと蔑む心で思う。
なにもかもが自己中だ。

「だがお前がやる方が遥かに安全だ」

それはそうだ。
アルは今無敵状態なのだから。
なんのためにやりこんだのかという建前は別だが、やりこんでいて良かったと思っている。
まだこちらを見ているのでローから行動するつもりはなさそうだ。
結局この仕掛けは解かねば安全を確保出来ないので、消去法も含めて己が行く。
この場所以降の協力は絶対にないなと冷める。
レバーを引くとゴゴゴと音がした。
ホラーのセオリーならばどこかが開いたり出現したりしている。
彼もそう思ったようで直ぐに部屋を確認しに行く。
屋敷なだけあり部屋がたくさんある。
こういう仕掛けであるのは近場だと思っていたので、アルも探す。

「見つけたわ。こっち」

彼に手を振り誘導する。
本棚が偏り扉が見えた。
ここが動いたんだなとまんまの展開に安堵した。
凄く難しいホラーゲームは頭脳を要求してくるからそういうのは避けたい。
解けないとどうにもならないのがイライラするのだ。
分かりやすいのが好き。

「先に行け」

「私を避雷針がわりにするのやめてくれる?」

人を利用しようとしているのが透けて見えて、協力的ではない同行者に吐き捨てる。
やる気あるのかないのか、あんたが先に行けよと思う。
経験があるのならそれらしく振る舞ってほしい。
さっきもはい寄るものを倒していたのに、急に頼りなくなってしまった。

「お前が適任だ」

「へー」

冷たく返事をしてさらりと本棚の中に隠されていた扉へ手をかける。
ゲームオーバーになりやすいものならこの時点で終わっていそうだ。
初心者なんとかってやつだ。