×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

これからどこの組織に連れられちゃうのだと内心恐れ戦いているとついにヘリコプターが陸へ。

「一体誰が」

ヘリコプターから出てきたのは――。

「って、え?」

「撒いたつもりだろうが」

――カツンカツン

セリは釘付けになる程見続けた。
速度的にありえるか。
いや、そもそもホーキンスのところにいたと知れていない筈だ。
彼が移動させたのは秘密裏だろうし。

「ヘリコプター二機も持ってたのね」

呆れるほどお金持ちなのだな。
作曲の印税を何に使おうが気にしなかったのだが、まさかのこれに使っていたとは。
ちょっと無駄な出費じゃないか?
自分を捕らえるために使うなんてどうなのだろうか。
確かに海外へ行こうとしたから何かしらあるかもしれないと思ったが空から来るなんて。

「私をどうするの」

分厚くて色づきの良い唇を愉しげに上げた男――ローはチェックメイトと言いたげにここへ寄ってきた。

「話しは後にしろ」

まるでエスコートをするかのように腕を微かに浮かせて手をと、足してくる。

「ホーキンスの部下は」

「勿論丁寧に送り届ける。礼も言いたいしな」

礼イコール嬉しいではなさそうだ。
礼イコールお話だろう。
どこへ向かうのかと思いきやロー本人が車の運転をし隣に座らされる。
海外の高級車だ。
こういうのもポンポン買っていた。
何度か乗ったことがあるから知っているが。

「はぁ」

「溜め息か?余裕だな」

「余裕じゃないから」

ヘリコプターに乗って追いかけられたのに疲れていないわけがない。

「ふざけているのなら即刻降ろして」

ムッとした口調で言うと彼はフッと息を吐く。

「焦るな。おれがお前に頼まれて曲を作っていたのは言ったよな。おまえが言うから作ったのは言葉通り」

「聞いた」

素っ気なく返すも気にした素振りもなくまだ続ける。

「お前の望む事をしたら落ち着いてくれると思ったが」

「落ち着いてって……」

昔は黒歴史だが、今は大分マシだと思うヨ。
うん。

「終わったらおれのところで暮らしてくれると思い上がってた」

「……え?え?」

少し間が空いてその間に彼が発したものを理解しようとして停止した。

「なのに、あっちにふらふらし。挙げ句の果てには雲隠れ。キレるのも仕方なくねェか」

独り言にも聞こえるそれに頭が付いていかない。


戻る【06】