起きたら知らない部屋に居たというホラーを体験するまでは安眠極楽状態であったのに。
「ここ、どこ!?」
あいつか、それともあいつの仕業なのか。
思い当たりが多すぎて分からない。
「おれだ」
「え?ホーキンス?」
まさかの常識人の一人が犯人とはびっくりした。
斜め上の状況に更に混乱する。
「あのまま家に居ると家が吹き飛ばされると占いで出た」
こわっ。
ホラーよりも怖い。
ホーキンスの当たり具合は重鎮達を出し抜けるから。
ホーキンス頼りになるが、従うしかない。
「隠居生活送りたいんだけど」
ここでいっちょ占いで見てもらいたい。
「既に行っていて結果は出ている」
早い。
教えてくれれば良かったのに。
「無理だな」
「ホーキンスの主観で語ってないそれ?」
皆口を揃えて迫ってくるから疑わしい。
「だが、力を貸す」
「どこか宛があるの?」
「ああ。ある。付いてこい」
ホーキンスは賄賂とか貰わないから抱き込まれてはいないだろう。
安心して後を行く。
歩いて進むと目の前に見えてきたのはヘリコプターだった。
セリは成る程と心得た。
海外に行くのね。
それなら魔の手もかからないか。
ヘリコプターに乗り込むと操縦する人が機体を上空へ上げる。
「はー、やっと平凡に生きられる」
発掘してきた人達はかつてとは違い、キラキラした集団になりつつある。
バラバラバラ、と音を立てながらヘリコプターが進んでいく。
景色を楽しんでいるとなんだか厳ついヘリコプターが視界の端にちらりと見えたような。
「あの。あのヘリコプター」
変な空気に操縦士へ話しかけると操縦士の顔色が悪い。
『そこのヘリコプター』
どこか聞き覚えがある。
『覚悟しろ』
「やべェ!伏せといて下さい」
激しい咆哮にドキッとしてあわあわしつつも足の間に頭を挟む。
こういうシーンって、こういうのをするんだよね。
知ってるよ。
でも、バランス悪くて不安定だ。
「ぶあ」
――ゴゴゴゴ
――ガコン
「きゃあう」
んん、と舌を噛まないようにする。
今ヘリコプターが揺れに揺れている。
しがみつくのに変更。
セリはあまりの揺れに後ろを見るが、いつの間にか二機のヘリコプターに囲まれているのに気付き目を白黒させた。
「なにっ。なにっ」
辺りを見回し何度も左右を見る。
操縦士の人は脂汗を出しながら苦しそうだ。
そんなにヤバイ状況なのか。
「ビルに降ります」
急遽降りることになったと説明を加えられた。
「あの、ホーキンスには」
「メールだけ頼んます」
操縦士は集中するためにハンドルを握る。
それを横目に軽くメールを単純に打つと鞄へしまう。
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