06
笑っているとまたローが般若に引けを取らない顔で見てくる。
さて、からかうのはもうやめとこうか。
「まあま、落ち着きなさい」
「誰のせいだとっ」
グッと拳を握って憤るので頭を冷やした方が良い。
取り敢えずローを落ち着かせよう。
そうだ、ローに今のうち顔を覚えてもらうのも良いかもしれない。
「私はリーシャ。覚えておいて」
「絶対忘れてやる」
どんどこと恨みがましい目で見られてた。
そんなに気にさわるかな。
忘れてしまいたいほどの真似はしていない。
「あ、これなんだろう」
純粋に心を引かれて落ちているものを拾う。
「おい、拾うな」
なにやら不機嫌な男の声を聞き届け「ハーイ」と元気よく答えて彼の元へ行く。
「この街の事教えてよ」
くすくすと内心手心を加えた質問に笑う。
やっぱり距離を縮めるには答えやすい質問だ。
「暇な奴が住んでる街」
「うわ、テキトー」
説明したくないのか、面倒なのか。
「じゃ、ローも暇なの?」
ギロリと睨まれる。
「暇なわけあるか」
「いやいや、私にその判断は出来ない」
初対面だしこの人が誰だか分からない。
まだそんな立ち位置なのだ。
「ギルドとか言ってみたいな」
彼はちらりとこちらに目を向け正面を向いた。
「田舎から来たし。ギルドってなかったんだよね」
「お前は黙ってられねェのか」
「うん」
って言ったら彼は疑惑の視線を寄越してきた。
「ローはどこか入ってるの?」
「言わん」
「えー。助けたのに?」
チクッと恩着せがましく言う。
「お前」
「冗談。歩きながら話そうって言ったの私だし?」
言いかけたローに被せた。