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- ナノ -
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構ってもらえないのが寂しかったのだろうか?
なーんて言えば町の中で血の海を見るかもしれないので絶対に言わないように気を付ける。
いや、今の自分なら言ってもある程度許されるのでは。
リーシャはちょっと疲れた体を前に向けると彼に笑いかけた。

「そのアイス、新作なんだって」

ボングラム味とかいうやつ。
そもそもそれを食べたことがないから興味があり、手を出してみた。

「黙って食え」

アイスにかぶり付くローはワイルドさが滲み出ていて、太陽の下に居るからか、更にかっこよく見える。
うん、やっぱり素敵。

「ふふ」

一緒に過ごせるという奇跡の時を逃したくなくて、ついつい見てしまう。
それがバレて何度も叱られてそれすらもニヤニヤしてしまった。
繰り返し、食べ終わるとまた海へ入る。
今度は止められなかった。

「あ〜。事件の匂いがする」

準備が終わったのではないかと邪推してみた。
だから止められることもなかったのだと名探偵でなくとも察せられる。
さてはて、いや、はてさて?
どっちでも良いか。
何が起こるのだろう。
特別仕様なんだからいつもよりも何かが付け加えられているのか。
それとも全員脱いでしまったり。
ゲームをしてもらう為にはそれくらいサービスシーンがなくては。
リーシャは少しずつ進みながら考えうること思い浮かべる。
魔公爵が二つ名であるローだが、公爵の部分はどこから来たのだろうと考えがよそ見をしてまう。
やはり、濃厚なのは監禁イベントかセイレーン系統の事件か。
海の中で動ける者も限られているのだ。
それに、その展開に巻き込まれると己はただの足手まといになってしまう。
魔法の本で呼吸出来るものの、誰も見ていない時に使わねば隠したいものも隠せない。
ということは、一緒に潜るというシチュエーションは望めないだろう。
もし、巻き込まれたらかなりの確率で死ぬかもしれないし。
でも、ローに助けてもらえるかもしれないという淡い期待が胸を打つ。
泳ぎたいようなもう満足のような。
足をぷらぷらさせて、なんとなく陸をぽてぽてと歩く。
砂浜は歩きにくいな。
ざりざりしていて足裏に貝殻が刺さりそうだ。
刺さっても治せるからそこまで気にする必要はないのだけれど。
ぷらぷらぽてぽてと足をゆるりと進めていると大きな波がザァアアア、と引く。
またモンスターか?
海を見ているとざくりざくりと音がして、誰かきたのだろうかと見ると全く見たことがない男がやってきて混乱した。
誰?誰?と思いながらも何か言いに来たのかもしれないと思ったので待った。
だが、それが悪かったらしいと男が話しかけてきたことにより悟る。

「ねェ、君今一人?もし良かったら」

と、長々、色々話しているのだが、初期の段階で聞く価値はないなと耳に蓋をした。

――パリーン

突然ガラス的な音が響き前方の男が横に倒れ込むのが見えた。
前にいたのだから見えるわけだが。
何があったのだろうと周りを見る。
襲撃かと気色ばむ。
数秒待っても次の攻撃がやってこないので、この男目当ての攻撃だったのかと慌ててそこから離れる。
女をナンパするような男だったから異性から恨まれることをしてしまったのかもれないな、怖い。

「おい、今の見たか?」

「ばっちし」

「団長、こっそりやるとは」

「素直じゃねェもんな」

「なに言ってんだ。おれらは裏があるから恋人なんて作れないだろうが」

こそこそと団員達が囁きあっていることなど露知らず。
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