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- ナノ -
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光がなくなる頃には景色が変わっていた。
太陽がさんさんとしていて、カラッとした暑い空気が肌を刺す。

「えーっ!?」

はい、ここでトボケル。

「本当に転移してるーっ!?」

大丈夫かな、大根になってないよね?

「言っただろ?」

「冗談だと思ってたもん」

「ま、そりゃそーだよなァ」

団員達がゲラゲラと笑う。
うん、でもな、お前ら。
割りと秘密にしておいた方が良いと思うんだが。

「さいきょーだね、ローは」

バカっぽく言う。

「当たり前だろ」

本人は何を言ってるんだと言わんばかりに対応する。
しかし、君の部下じゃないんだから本気の能力を知らないのはあまり前。
知っていたらそれはそれでヤバイっしょ。
警戒レベル最高に引き上げちゃうな。
そんなヘマはしない。

「どんなところでも行きホーダイじゃん」

「まーなっ」

「こらシャチ。あんまペラペラ言うな」

シャチを嗜める人達。

「そーだよ、シャチ。あなたはボスの能力をうっかり話しちゃうオチキャラみたいに見えるよ?」

「は?オチキャラ?」

「つまりは、余計な事を話して存在を消されるミステリー本とかで居るような」

「うわ、やなキャラだな」

お前、お惚け感してるけど、フラグ設立したら本当に消されるんだからな。
ローはやらないかもしれないけど、黒幕の黒幕とかやるだろ。
なんの躊躇もなくやられちゃう。

「ハイハイ、私が大人になって聞かないように気をつけててあげるから」

「おれは子供かっつーの」

でも言いそうになってた。

「楽しい海日和!行こ!」

皆を急かして海へ近付く。

――ザァアアア

あれ、なんだろうこの音。

「リ、リヴァイアサンだーっ!?」

イベントはどうやらつつがなく開催されるみたいです。
リヴァイアサンって有名なモンスターだ。
他のゲームでも良く使われるやつ。
それが出てくるとは。
どっちなんだろう。
デカイのか弱い方か。
出来れば小さい方が来て欲しい。
振動すら感じられる。
あー、これデカイ方だな。
勝てないよ。
逃げねば、とくらうなんたらスタートを仕掛ける。

「おい、逃げんな。おれらにはローさんがついてるんだぜ?」

「無償でモンスターをやっつけてくれんの?」

疑う視線を向ける。
おまいら冒険者だろ。
んで、選ぶんだろ、的な。

「おう、やってやる」

やるのはローだろ。
多分後から要求する奴だなこれ。
思ったけど口には出さなかった。
海が今だ揺れる中、ローが手のひらをモンスターの方へ向ける。
なにか魔法でも使うのかと目を皿の様にする。
一手すら見逃すのが惜しい。

「アイスニードルスケ」

ひらひらと魔方陣が手の先から浮かび、魔方陣がパズルのように回る。
ハート団がわあわあと歓声を上げる。
何が起こるのか知っているのでさわげる。
身内は分かっているからそんなテンションでいけるけど、モンスターが今にも己達を飲み込もうとしていると思えて、兎に角陸へと走った。
ロー達が倒すと理解していても恐怖でそこに留まることなど出来ない。
波だっていつ自分に襲いかかるか分かったもんじゃない。
リヴァイアサンというものの存在は大きく、ちょっと動いただけでも振動が伝わる。
攻撃が当たるだけでもそれなりの風がこちらへ吹く。
ローの唱えた呪文が完成したのか組合わさった魔方陣から淡い光へとなり氷の刃へ変化する。
それが幾つも生成されて次々にモンスターへと足止め出来る程攻撃されていく。
その様子に逃げ惑っていたリーシャは遠くから見つめつつローの様子を盗み見る。
攻撃しているのもカッコいい。
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