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ローもローで耳が良すぎる。
それにしてもグイングインな取り合い。
片方の味方をしてもややこしい。

「わかりまーした。私が1人で去ります。これでいいよね?」

どちらも譲れんというのなら妥協案。
言うと二人はゆるりと腕を緩める。
カサッとその際謎の女の手から手へ何かを握らされた。
多分それとなく予想はつく。
サッと走り二人から離れる。
二分程の距離を離し周りを見渡すとカサッとな正体を広げる。
紙には小さくカフェのどこどこへと書いてある。
女の子が誰か不明だが、別に悪意は感じなかったので行こう。
とことことカフェへ向かうとそこには既に待ち人が居た。
何のようだろうかと色んな疑問が浮かぶが座る。

「突然すみません。あのとき、貴方が言い出しかけた事が危険そうだったんで、つい」

何か危険な事を言っていたかと思い出してみるが、はて、わからん。
すると、それを見ていた相手はため息を吐く。

「危機感薄いよ」

そして、切り出す。

「自己紹介がまだでしたね。私はヨルム」

ヨルムとな。

「今はキッド率いる傭兵団の治癒師をしていて、以前はとあるゲームのシナリオを担当していました」

椅子から転げ落ちるかと思った。

「元居た世界での名前は――」

「え!――!?」

名前を思わず復唱する。
いやいや、元同僚か!?
ええ、まじか。
彼女とは同僚であるが年下で、たまに悪役議論を白熱させていた。
ベルクトは違うものの、絡みとか必要だったので。

「今はヨルム、と」

「ヨルムってあれだよね?ゲームのハンドルネームだよねっ!?」

「リーシャこそ、ハンドルネーム」

「名前なんで知って?」

「情報収集も兼ねてしていたら色々耳に入ってくるの」

びっくり、した。

「いや、でも、あの、ヨルム?あの、えーっと」

同郷の人が居たというだけで頭がパンクしかけている。

「混乱するのは分かるよ。それに、私だけしゃなく、他のゲーム製作メンバーもこの世界に居る」

「え、もう、わけわからない」

「んっとね、ダークエルフ」

「……え、じゃあ」

「ん?」

ローの目が覚めない事件の暗躍していたあのダークエルフって。
リーシャにはそういうのを知る余裕はなかった。
そもそも情報源もなし。
知る方法がなかったのだ。
前提の仮説さえもなかったのだし。
目から鱗な言葉にバクバクと鳴る心。

「私はどうして私と分かったの」

「容姿はそのままだもん」

「ま、ぁ、そうなんだけど」

ヨルムと言った彼女は面影はあるが別人。

「そういえばキッドの傭兵団って」

彼女は確かにシナリオ担当だけど、キャラを愛しているとは知らなかった。

「やっぱり今まで関係が根強いキャラに興味行くし。それに、仕事が一緒で過ごしてみたら結構気にかけてくれるし」

嬉しそうに語られる。

「そうは言っても、リーシャだってちゃっかりハート団の人達、っていうか、ローと親密そうじゃん」

ヨルムの指摘に頬を擦る。
頑張りましたから。

「二次作でしか見たことなかった男女交際方面、ルートに突入間近よ」

彼女の興奮具合に苦笑する。

「どーかねえ?」

「ちょ、さすが鈍感の名は伊達じゃない」
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