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リーシャは納得出来ていないので、ローに詰め寄る。
しかし、次は顔がグンッと近寄り息を飲む。
「!」
あまりの近さ。
「おれがなにもしないうちに去れ」
確かにこのままだと大人の世界に引き込まれるかもしれない。
そうならないように、急いで離れた。
どういうつもり?
っていうのと今まで妄想して補っていたり、二次作の小説や絵やらを漁っていた日々がぐるんぐるんと回る。
ゲームファンの皆ぁ!
ローが、本物のロー!
めっちゃ迫られてるう!
鼻血だす、とか言ってた人。
本物が居たら札束で殴るとか言ってた人!
札束より好意の方向で殴ったら好感度上がったよ。
絵文字使いたくなるくらい舞い上がっている。
もしこれで帰らないわって試しに言ったらどうなるんだろう、気になるな。
うっすら口を開くと後ろから衝撃が訪れた。
「すみませんっす」
バッと腕を掴まれてグイグイと後ろへ引かれる。
「お詫びにカフェで奢るっすよ」
次々に起こる意味の分からぬ事に目を白黒しているとローが般若の目で不埒者を睨み付ける。
「てめェ、その腕退けろ」
「おや、さっき去れと言ってませんでした?小耳に聞こえましたよ」
すげぇこの人、ローにもの申せるとか。
から笑いを溢しながらもこっそり耳打ちされる。
「ここを一緒に切り抜けて欲しい。お願い」
最初は分からなかったけど女の子だこの子。
仕方ない。
ローとは離れる。
「ロー。私この子とお茶するよ。じゃあね」
ヒラヒラと手を振ろうとするとそれごとガシ、と強く強く掴まれる。
片方ローに掴まれ、取り合いされてる人間みたいになってしまう。
ここで私の為にアラソワナイデっとか言えば解決するのかね。
「今お前、こいつに何か囁いたな」
見てたぞと副音声が聞こえてくる。