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山の素材を取りつつアイテムボックス的なところに入れる。
冒険のやつもある世界だからこういうところは便利だ。
途中モンスターが出て来て避けきれなかったエンカウント故に吹き矢でサクッと気を失わせた。
こういう時には時間がかかるから短縮の為に戦わないのを選択肢に入れる。
おかげで素材集めは早く終わるし体力すら温存出来た。
温存してここぞと言うときに本気を出すのが己のテンポ。
最強でもなんでもない女ならそうするのは寧ろ当然。
ザックリとした音を立てて、山を過ごす。
材料が程よく集まるととんとんと腰を叩いて立ち上がる。
これで良いかと区切りを付けて町へ。
いつものように帰るとどこかざわざわと町が忙しそうな空気に首を傾げた。
いつもより皆が余裕なさそうで。

「くそ!なんでこんなとこで!」

焦りながら通りすぎる人が居て、それを見ていると向こうから轟音が耳をつんざく。
なんか争いの音がしてるんですけど。
もしやどこかの組織に襲撃されてるのか?
と、思っていたらキッドとローが睨みあって発展したらしい。
まぁ良くあるよね。
……ないけどね。
普通はありえないよね。
キッドは傭兵だからあり得るとしてローは表では健全で強い冒険者である。
なのに、ここでドンパチを起こすのは短慮であるのではないか。
ローは目立たないようにしなければいけない。
いや、既にハート団は国単位で知られているけれど、それとは違い、悪い意味での目立ち方は不味いのではないか。
人気だからそんなことでどうこうならないのかもしれないけどね。

「おらァ!」

「ハッ」

――ガキンッ

――ドガッ

――ズドン

魔法の本の遠視で確認すると本気で戦っている。
ん?側らで女の子が居る。
あの子はキッド側運営の子かな。
だとしたら危なくないか。
まぁ別にキッドも配慮するし良いか。
今は取り合えず近くに寄ろう。
近くでローが戦っている姿スゴい見たいもん。
リーシャだってローの事が秘密だが好きであるから勇姿を見たいわけだ。

――ガァン

「喰らえ!」

キッドが武器を振り回す。
振り回した先にはロー。
二人は武器をかち合わし、キンキンとした音を立てる。
周りで見ている人が興奮している。
ギルドのある町だから荒っぽくても今さら騒ぎ立てる人なんて居ない。

「ってか、さっきそんな人居たか」

慌てて去っていく人も居るということだな。
そりゃね、巻き込まれたくないんだろうし。
リーシャもローじゃなかったら向かってない。
今は前へ進むことを意識する。
しかし、人が混雑していてなかなか前へ進まない。
もごもごと唸りながら進み、なんとか人が少ないところへ出る。

――ポスッ

ぷはっと空気を吸うとまたローのところへ目を飛ばす。
キッドがにんまりと笑う。
色々互いに挑発しているようだ。
今にも武器を体に叩きつけてどちらかを切り捨ててしまいそうだ。

『トラファルガー!今度こそてめェのその濁った目を潰してやる』

キッドが言うと今度はローが言う。

『てめェに心配されるなんざおれも偉くなったもんだ』

またガキンと音がして武器がぶつかり合う。
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