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でも、この人も会うのはやめておく。
今会っても一人のファンとか思われそうだし。
キッドの場合は傭兵だから国に属しておらず戦いが好きだから悪役になりやすいのだ。
傭兵とギルドもある世界って珍しいよね。
うちの場合課金要素のないフリーなゲームだったからどんな矛盾した設定でも入れられて楽しかった。
そういやキッド担当の新人ちゃんは悪い男好きな人だったな。
好みの男が被らなかったが裏の顔のローがかっこいいとお酒を飲み交わしたこともあった。
懐かしんでいると途中、ハート団の男が前方からやってきてこちらに気付くと声をかけてくる。

「お、丁度良い。お前に見せたいもんあったんだ。これこれ」

ポケットを漁り一枚の紙をペラッと見せてくる。
波の模様がちらっと見えた。

――ピラッ

得意気に見せてくる。
まるでほめてくれと言う犬のようだ。

「これなんだと思う」

「映画のチケットとか?」

「ぶっぶー」

あ、そういう言葉もあるんだこの世界。

「リゾートチケットだ。当たったんだぞ。すげくね?」

リゾートって夏のイベントにありそうなものだ。
シャチにも海に誘われたんだが、このチケットが発信源らしい。
しかし、関係ない自分を誘ってくるということは特にこれといった裏はないという感じなのかも。
それなら気軽に誘ってくれるし行けそう。
でも、取り合えず直ぐに食い付いちゃだめ。
何でもかんでも良いって言ってると邪推してくる人達が出てくるかもしれないし。

「私部外者だよ?それに」

言葉を遮られた。

「ダァメ。お前は絶対参加。強制参加だ」

男は帽子を振りかぶって役者のように大業に手振りを激しくやる。
なんかやらかした覚えはないが。

「日に焼けちゃう」

「日焼け止め塗ってやるから」

「それはイヤ」

「即答すんなし。おれの心が気遣えてない」

がくんと肩を落とすが直ぐに持ち直す。

「そういうのは彼氏にやってもらう」

「……えっ、お前、居るのか。彼氏が!?」

「あくまでそういう場合はって比喩だけど」

「なーんだびっくりさせんなよ」

あまりにも驚くからそんなに言う程だろうかと呆れが浮かぶ。
一々ただの一般人の色恋沙汰に大袈裟な人だ。

「で。絶対参加な。日にちはここに書いておいた」

もう一枚紙を出してきて手書きのメモを渡される。
用意周到さを見るに本当に参加を期待されているらしい。
そこまで信頼を勝ち得ていたのかと苦労して好感度を上げといて良かったと感動。
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