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- ナノ -
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その度にローのイラッとした空気が増える。

『でも、あの目だけは好きかも』

ローについて本人の前で褒められないから裏バージョンをうっとりと語った。
裏バージョンの方が実は気に入っている。
あのわっるい感じがクールでイケテるのだ。
おまけに悪い人が二次元に限り萌える女である。
みんな忘れてるだろうからもう一度言う。
そして自分のアピールの為に言う。
こほん、と咳をする。

「目の前に座ったりなんかしてどうしたの?」

「特に理由はない」

「ふうん?あ、今前のやつの記事見てたんだけど、あれからあのドミノマスクの人のことなんか分かったの?」

あの目につけるマスクの名前そんなんだった。
あとから調べたのだ。
メンドクサイし一々思い出すのが大変で。

「知るか」

「えっ?」

聞き間違えかね?

「調べてくれるってロー以外は言ったよね」

「おれが知るわけねェだろ」

「片鱗くらいは聞いてないの。どう見てもあそこに居たってことは関わりがあるよね」

「幻覚でも見たんだろ」

ローは見られた件をあやふやにしたいんだろう、この言い様は。
マズったもんねー、目の色見られたんだもんねー。
全部筒抜けなのを彼は知らないので必死だ。

「それを抜きにしてもなーんか気になる」

「どこがだ」

あ、おお、なんかめっちゃ食いついてくる。

「どこがって。目の色?とか、雰囲気?顔わかんないんだからそれくらいしか見れたとこないからさ」

「押し倒されたくせによく言えたな」

なんか機嫌悪くないか。
いや、本人褒めているのに怒るわけがないな。
リーシャはのろけとも取れる事を悪気もなく吐く。

「目が合っただけだけど、雰囲気だけでもあれは良いなって思えた」

中身ローだしね。
良い男詰まってるのは当然。

「いつまでも弛んでるな」

空からお菓子が降ってきそうな事を言われた。
あまーい。
何に怒ってるのか分からないが、心配されてるんだって勝手に解釈しちゃうね。
しかも、強き発言しちゃってまあ。
友人なんだか良く分からない関係だけど、結構攻略出来てそう。
助けたりしたしねー。

「はは。弛んでるなってなに?ゴムみたいな?」

ふふふ、と笑う。

「顔もまともに分からない男をそこまで褒められるのが可笑しい」

ムスッとした顔で返されてあははー、と笑う。

「見たよ。全体像。ああいう雰囲気の人はきっとヤバイよ。絶対キャーキャー言われる」

「聞いてらんねェ」

ガタッと席を立つ音。
おや、もう行くのか。
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