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自分の身でいっぱい過ぎる。
それにしてもなぜローは裏の顔の時にここへ居たのだろう。
取引相手を見に来たか、計画に狂いはないか見に来たか、今回は何か例外があったのか。
要素はたくさんあるものの、断定出来そうにない。
ううむ、この問題もこの後のローの態度で予測することしか出来なさそうだし後回しだ。
で、ちょっと話を早めておくと数分後にロー達はやってきて鎮圧した。
被害者達から得た情報の記事を読むと瞬殺だったらしい。
これにより更にハート団は株が上がり、今回は身分が良い人も結構居たからもっと名を上げた。
あと、新聞の端っこに小さく宝石店での求人広告があるのに気付き奇跡的な記憶を引き出せた。
確か今回の事件はこの宝石店の布石だ。
新聞には乗っていないがこのとき、この店のオーナーが原因不明の発作で倒れて一時的に有給を取ったんだった。
オーナーが入院したのは偶然でなくてメロウが仕組んだ入れ替わり計画のプロローグ。
リーシャは今思い出した事を時系列にする。

「確か、確か」

何度も口にし無い知恵を絞る。
シナリオが似たものになることもあり、数もそこそこあるので必死に脳内で検索をかけても混乱してしまう。
それに、エイプリルフールネタさえもある。
ヒロインがローと同じ組織という設定とか。
そのせいで混同してしまってたり。
なんとかうんうんと唸りながらも考えていたから、カスカスした部分だけ思い出せた。
しかし、本当に朧気でひっかかったもの故に記憶として形にならない。
もうちょっとで出そうなんだが。

――カタン

僅かに騒動の中で音が至近距離から聞こえた。
今、酒場で座って新聞読んでるから誰が座っても不思議ではない。
今はそんな些細な事に気を取られてはいけなっ――。

「っ、ロー、め、珍しい、ねっ」

ちらりと窺うだけで直ぐに思考を戻そうとするつもりで見たのに、知っている人だったからびっくりして思わず声をかけてしまった。
無視してそのまま推理に踏み込めば良かったのに、こういうのはキャラじゃないから反応しちゃったかな。
彼と会うのはあの建物から救出された時だ。
裏の顔の時のローに襲われたことを黙っているのもあれなので供述書には「変態に押し倒されたけど逃げた」と述べた。
ハートの人達にも似た内容を言うとなんともいえない顔で見られて、ローにはい殺さんばかりに睨まれた。
言いたいことはよおく分かってる。
彼らは「そんなわけないよな」で、ローは「事実無根だ勘違いめ」とか思っているだろう。
自分とて襲われたことは語弊もあるが概ね合っており、変態というのは仮面を被っていた。
いや、あれはマスクといった方が良いかも。
目元だけのマスク。
ひとつひとつを見ていけば変態だ。
ローには厭らしくじっくりと相手のことに関して言った。
いきなり後ろから押し倒すなんてヤバイよね。
しかも、尋問されて逆にお前こそなんなんだと言われても可笑しくないことを言っていたんだよ、と愚痴る。
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