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つか、どこいったんだ、あのあとヒロイン。
もしかして敵に捕まってたり、しそうだな。
あの人数相手にやりあえる設定じゃなかったし。

「白煙、プログラム」

簡潔に唱えればプシュー、と音がして部屋が煙で満たされる。
そうすると僅かにながら動揺した気配。
だが、ローはそれでも拘束の手を緩めなかった。
こんなところで高レベルを発揮しなくていーよっ。
雑魚相手に本気になりすぎ。
ここでかっこ良く抜けだせりゃ良かったんだがねえ、無理だねー。
だが、小細工なら仕込める隙は出来た。
ヒロインが暴れられるように。
てか、ローが裏バージョンで表側に姿を晒しているのは珍しい。
普通部下がこういう小さめな事件を担当し、彼は殆ど裏で指示してる事が多いのに。
考察を浮かべていると仰向けに転がされて仮面がズイッと目前に来る。
このシーン、ヒロインが相手のやつじゃん。
なんで私が、とリーシャが焦る。
こうなったら緊急の頭の中にあった回避方法を取るべし。
今ローは偽装しているから瞳は真っ黒なのだが。

「あれ、貴方の目って髪と違ってブラウン系なのね」

と、偽装し忘れてるだと!?という動揺を誘う。
上手くいった。

「っ!くそ!?」

咄嗟の防御行動で目を手で覆う相手。
ふははあ!と内心笑う。
目の色知られてやんのっ。

「目眩まし」

魔法が発動する。
目眩ましはミラーという分身だ。
既にリーシャが扉に向かったという風に思わせる。
これも随時出来たようで男は悪態の舌打ちを付きながら外へ飛び出す。
しめしめ、誘導出来た。
万が一ローと鉢合わせする覚悟と可能性は考えていたから。
今回は上手く出来たが次回は看破されるだろうからもう二度と同じ手は使えまい。
倒れた体制のままじゃヘンテコだから立ち上がり入り口に向かう。
今のうちに外出よう。
結界が解けたら直ぐにでも出られるようにしとかないと。
いや、その前にハート団が依頼されて来る方が先かもしれん。
初対面の行動で今会ってしまうつもりなど毛頭もなかったのに、顔を見られてしまうのは予定が狂った。
それは後々考えるにしても今はひたすら保身に走ろう。
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