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- ナノ -
30
タオルを持ってきたローはこちらへ渡す。
魔法でヒョン、と持ってきた。
魔法便利だ。
そういうのリーシャも欲しい。

「そういう手元に持ってくる魔法良いなあ。欲しいなー。どうやって使うの」

「頭が賢くないと無理だ」

おい、どういう意味だ。

「はいはい、天才天才」

はは、と笑う。
だから一向にに魔法書なしの魔法使えないのか。

「んー、もう帰りなよ。皆待ってるよ。看病ありがと」

そろそろ夕刻だしと足せばさっさと立ち上がる。
言わなきゃ帰らなかった感じか。
言ってよかったと安堵。
バイバイと手を振る。
当然のように振り返さぬ徹底振りに笑いを噛み殺す。
笑ったら絶対明日から話してくれなくなるよ。

「次約束破ったら許さねェ」

不可抗力って分かってるのにそれ言う?
ローはローだなと安心した。
そこがローたる所以だ。
唯我独尊、傍若無人、マイペース。
時には団員を大切にし、ぞんざいに扱う。
なのに、構わず団員から愛される。
罪作りだろう。

「それは病原菌さんに聞いてみない事には」

「捻るぞ」

何をっ!?

――パタン

ギョッとしている間に閉められた。



***



全快しました。
皆、漸く全力で絡んであげられるよ〜と嬉々とギルドへ向かった。
しかし、だあれも迎えてくれることなく、一人もハート団は居ない。
集団移動でもしたとか、あの子達。

「あ、リーシャさんですか」

キョロキョロとしていると受け付けの女性が話し掛けてきたのでびっくりする。
美人に話しかけられると無意識にテンションも上がった。

「はい」

「ハート団から伝言です。依頼を受けるので暫く帰ってこないと」

成程、集団移動したんだ。
ハート団はギルドの一つだもんね。
しかも、今をときめく人気があるところだし。
ひっきりなしに依頼が来るのは当然。
多少期待していた分の肩透かしに合ってしまう。
こういうのって間が悪いというんだ。
暫くロー達に絡めないと肩を落としているとこちらを窺う視線に気付いてしまう。
なんなのだろうと辺りを見回し、誰だと見るとキャシーだった。
こわっ、いつから見てたんだ。
目を合わしてしまう前に前を向いたんだけど、向こうは目が合ったとか勘違いしないよね?

「ねーっ!」

だが、願いは車に吹き飛ばされた。

「今私見たわよね!だったら仕方ないわ」

完全に当たりやめいたそれ。
こっちにズカズカやってきて腕を掴もうとする。

「こっち来ないで」

ロー達と交友あるの知ってて話しかけたんだろう事はお見通し。
キツく睨み付けるとびっくりした様子でめげずに話しかけてくる。

「貴方は分かってない。あいつらは凄く酷い奴らなのよ!」

(知ってるっつーの)

寧ろキャシーも含め知り尽くしている。
それにしてもヒロインイコールユーザーなので今まで確証の出所は気にしていなかったが、どうやって空気のような存在を知ったのだろう。
凄腕の情報屋でもない限り毎回事件を解決出来ない。
現実的に考えればキャシーはどうやっているのか気になる。
それを知りたいと思う。
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