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リーシャは内心もんどり打っていた。
売れるだろうなそういうシーン。
大人気でネットなんかでも話題になりそうだ。
尚、これは贔屓目である。

「治ったし、イベントも始まるか」

ユーザーを飽きさせない為にフリーゲームではあるが、季節や変わり目、そろそろといった時期に番外編を配信していた。
それが結構な量で、大変だった記憶が今も色濃く残っている。
それを思い出すと頭痛が起こる程の体験をした。

「いたたっ」

幻覚であるが、痛みが若干ある。
梅干しを見たら唾液が出る、みたいなアレだ。
くう、なんてことだろう。
苦い思い出の一つ。
人気になるにつれもっと彼らを知りたいというユーザーの希望に燃えたあの頃が懐かしい。
その前から何人かシナリオを担当する人が増えて緩和されたものの、それでも書く量は多かった。
やっぱり自分もゲームキャラのファンだったので、初めて見るシナリオは読んでいて面白かった。
自分で書いたものを読んでも内容知ってるから楽しめなかったという本末転倒感を味わうという奇妙な体験もある。
自分のシナリオと他の人のシナリオでベストなものも違って、書いてくれてありがとう!と何度も思った。
その人もハート団は好きだったし熱い議論を交わしたりしたこともある。

「ジューンブライドイベントも、あれはまさに秀作だね」

自分でシナリオを書いたが、流れは運営側が指示してきたから骨組みは決まっていた。
そのゲームは何回かリニューアルとかバージョンを更新したりしていたから同じ時期のイベントでも毎年シナリオが違った、という別の楽しみもある。
リーシャの他の人のシナリオで気に入っているのはヒロインがローと海で遭難するプチイベント。
プチイベントというのは運営がローとハート団の人気に大笑いしながら配信したものだ。
運営がなにかしらの原因でイベントが開催されなくなり、その間のお詫びシナリオとして配信したものだ。
数日間連続してログインすると見られる仕様になっていた。
スマホゲーのような配信の仕方するな、と思ったけど、普通に反響があってビビった。
キャラ愛同盟達とローを中心とした恋愛風味なイベントがあったら良いのにねー、と書きなぐったシナリオが現実になったことも。
書いてみるもんだな、と皆で言い合ったっけ。

――トン

ボロ宿の階段を登る。
扉を開けるとベットに入り込み、ハート団が帰って来た事を喜び肺に空気を吸って吐いた。
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