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ローが眠っている間にハート団の団員たちの心の支えに気力を果たし、結構な信頼を得られたのではないだろうか。
ここまで行けば、もうあとは本殿を残すのみ。
ローが居るであろう方向を見ると視線が合う。
え?こっち見てた?

「なんか、お宅ン家の団長がこっちめっさ見てる」

今話していた団員に告げると団員くんはあー、と言いにくそうに説明してくれた。

「それが、攻撃受けた後、意識なくなる前の団長、最後に見たのがお前が団長を庇うとこなんだよな」

あー、あー、あー、成る程。
内心ガッツポーズオンパレード。
こりゃ、もう攻略しに行く必要なんてないか。

「それと私を見ているのになんの関係あるの?」

これは、もしやこいつ、おれを庇って、なぜなんだ現象か?

「おれにも分からん」

「えーっ。ちょっと聞いてきてよ」

なんか投げやりじゃないか?
つか、聞いといてよ。
普通に気になるではないか。

「睨んでないんだから気にする必要なんてないだろ」

「気にするに決まってる!」

ほら、聞いてこい、と押し問答しているとロー本人がなんとこちらへつかつかとやってくる。

「起きたんだね。遅かったよ?待ちくたびれたから」

にこにこと笑みを浮かべるとローはこっちをずーっと眺めては何かを探るように目を固定する。
段々笑顔が固まる。
流石になんか言って欲しいのだが。

「聞いてる?」

「聞こえてる」

じゃあ答えろよ。
なんでこっち見てんの。
ちょっとはなんか声をかけてほしい。
例えば「あの時は世話になった」「ああ」とかでもこの際良いから。

「どうしたの?眠ってたからまだ眠いの?」

「……なぜあのとき前に出た」

「皆動けなかったように見えたんもんで」

「お前も頭を踏み潰されると思わなかったのか」

えー、一番初めはありがとう的なニュアンス来るって思ってたのに責められてる。
まぁ、答えないのも可笑しいか。

「そういう事言われてもいざその時になったらまた違うよ。ローは今になって後からそう思ってるんであって、そんなの困る」

推しキャラクターが殺されかけていて、庇わないシナリオライターがどこにいるのか。

「なんか今日はもう良いや。帰るね」

折角復帰したし、こういう空気にするのはあれだからギルドの外へ足を向ける。
足早に移動し外へ出る。
後ろからテノールの「待て」とか聞こえたが、答えても同じような事聞かれるだけなら意味なし。
曲がり角を曲がろうとした時、ドンッと何かにぶつかる。

「いたっ」

鼻ぶつけた。
いったーと鼻を擦る。

「どこへ行く」

魔王のオーラを放つローが居た。
うーん、もしや転移をしたのか?
ローはボスなだけあって、結構魔法を使えるのだと思い出す。
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