×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
22
数日後、噂の通りロー達が町へ帰って来た。

「きゃーっ、ロー様よ!」

「ペンギン様!シャチ様!」

久々だからか、前よりも過熱した声が聞こえた。
前から人気だったからこういう声援や黄色い声と言われる声も多い。
でも、彼らはいつも通りクールな対応だ。
手を振るわけでもなく、愛想を振り撒くこともせず。
己達がこうなるのは自分達で計画した犯罪を解決しているのを分かっているからか、慎重なのか。
単に名声が目的ではないからか。
やっかみを受けないように態度を一貫しているのか、定かではない。
彼らが通る度に道が出来、ギルドへ入ってくる。
リーシャは元々ギルドへ来ていたので後追いしなくても済む。
外の様子が分かるのは魔法で透視していたからだ。
万能ではないが、使い勝手は最高。
入ってきて、こちらが目に入ったのか団員の一人が駆けてきた。

「久々だな。つーか何だよあれ」

「あれ?」

わざと分からないフリをすると笑うのを堪えた顔で送ってきたやつの事だと。
ああ、あれね、と澄まし顔で受ける。

「効いたんじゃない?だって起きてるじゃん」

作ったアイテムをハート団に送った。
もしかして送れていないかもしれないとか、沢山送られてるだろうから見られていないのではと思っていたが、送り主を選別しているようで、無事届いたようだ。
結構効き目があると言われている、寝ている人に効くやつなんだけどね。
そう言うと彼ははは、と笑ってしまう。
結構意外なアイテムも送ったからだろう。

「辛い粉とか、笑わせる薬とか、あんなん、団長に使えねェよ」

「でも、長い間眠ってたし、効くかもしれないものは試してみたいんじゃないかと思ってさ」

「あー、おれはやらなかったけど、他のやつがこっそり団長に使ってんの見た」

気まずそうに言い、使いたくなるんだよ緊急事態では。
そういう心理も利用して送った。
ファンレターを送るよりもそっちの方が有用性もあるだろう。
一応短く目覚めれば良いね、とお見舞い的な文章は付けておいた。

「まじ、あれ見たときが一番笑った」

久々に笑ったよ、と若干シリアスな空気を漂わせる。
己の長が目覚めないんだから暗くもなる。
もう終わったことだし、暗くならなくてもいいとは思う。

「まーまー。今歩いてるんだし、良かったね」

見た目はピンピンしている。
恐らくリハビリでもしていたと思われた。

「で、結局祭り行けなかったね。今度の祭りは行こう」

ハート団の皆が暗いから、ローが起きたら行こうと約束していた。
しかし、ここまで半年以上かかったのだからもう前の祭りも季節を過ぎている。

「おう。今度こそ行けるな」

気前の良い返事を聞けた。
prev * 22/79 * next
+bookmark