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- ナノ -
18
聖獣、聖なる魔物に襲われたローは直ぐに入院させられ、意識が戻る事もないまま、次の日を迎える。
ハート団はどんよりしていた、全体的に。
あの場に居たのにあっさりローを攻撃され助けにいけなかった事が暗い影を落としているみたいで。
気を落とすな、絶対助かる、と声をかけているものの、全く効果がない。
落ち込んでいても治らないと知っているから、出来れば元気を出してもらいたい。
連日皆の憂鬱気分をなんとかしたいと頑張っているが、やはり裏組織と紙一重なのでどこか隠している感覚がひしひしと感じる。
リーシャにとってペラッペラの秘密に等しいというのに。
生暖かい瞳になる。

「ほら、拭いて」

経験者として、冒険者として日々戦っている男がうぐうぐ泣いている。
ティッシュを渡して病院の廊下で佇む。
座ろうと足し、重い足を椅子に誘導する。
ここ最近皆こんな感じだ。
ローを目覚めさせるにはヒロインが目を覚まさせるレシピを知って頑張って奔走するわけだが、本編ほどローやハートの交流が深くないのだ。
困ったな、と思うがここは己が立ち上がる他ない。

「おれがあんとき動けてれば、こんなことに」

ちーんと鼻を噛む。
皆おんなじ事を言うんだよなあ。
あのとき、どう頑張っても無理なものは無理だった。
聖なる魔物は不可侵の魔物だから、見えざる手が働いていた。

「皆同じ条件だったよ。それに、動けても規格外な攻撃を受けたから」

リーダーのローが避けられない状況だった。
それだけでも助けられないと分かる。
滅茶苦茶慰め終わり、病院から出ると材料を探しに行く。
呪いの解呪方法は簡単ではない。
ハート団に教えないのはレシピを教えてはならないと自分も理解しているから。
ハート団は表側では冒険者だが、裏に太い繋がりがあり、ハート団に教えるという事は裏のところにも知られるのと同等。
聖なる魔物が攻撃を与える理由はそれほど知られていないので民間人は知らぬが、悪人達にとっては欲しがる情報なのだ。
それに、呪いが解ける条件も関係している。
ファンタジー要素がここにも発生し、善良な人が無理矢理作らされた薬は効果を発揮しない。
しかし、分かっていて作る薬は効果がある。
悪人が作ったり、一定の業を持つ人間が作るとやはり効果は無くなる。
なので、分かっていて作るリーシャは薬をローに無理矢理飲ませる体裁を作らねばならない。
どこまで効果があるかも問題だが、ギリギリならば確実に効果がある方が良い。

――サクッサクッ

整えられている道路を行く。
先ずは銀リンゴと人魚の涙が必要だ。
人魚の涙はちょっと取るにも交流に時間がかかる。
が、今回はこの時の為にも交流持っときました。
今から会いに行く。
それと、銀リンゴは山の上にあるからそれも時間かかるなあ。
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