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ゲームを配信して間もない日、ローがヒロインに手を出せない理由のシナリオ本編が追加された。
その内容はローが聖なる魔物に呪いを受けるというものだ。
それをヒロインが治しローは直接危害を加えなくなるという。
その経緯が山菜狩りとは知らなんだ。
「おー、あったぞ!ゼンマット」
団員の声が山に響く。
こんにちは、山菜狩りに誘われ絶賛採取中のリーシャです。
なんかこういう感じのシナリオあったよね、と思い出していると、こんなに団員居たっけ?と思う節がある。
もしかししなくとも、リーシャを誘ったから皆も来たのかもしれない。
計画性のある山菜狩りなら皆予定組み立てられるし。
ちょくちょく細かいところが変わってるんだよね。
なんか関わっている感を実感出来てめっちゃ嬉しい。
ローは山菜狩ってないけどな。
「山菜と言えば、初めて会った日にも私キノコ取ったよね」
あれ皆そのキノコ食べたのかな。
「いや食うわけあるか!あれ毒キノコとはいかないが食用じゃねェしっ」
シャチがここぞとばかり吐き出す。
ええ、今更言うの?
あげた時に言ってくれれば良かったのに。
「そっか。言うと私が悲しむから言わなかったんだ?可愛いな〜」
ニヒッと笑いシャチの肩を組む。
発言にギョッとしてやめろよ、離せ、と照れ隠ししてくる。
いや、分かってんだよ。
君、本当は人思いってさ。
腕を組んでいると空が急に眩しく光る。
「なんだ!?」
周りが敵襲か!?と気色ばむ。
あ、シナリオ進行来た。
ドンピシャで来るとは。
光の中から現れたのは光の魔物、聖なる魔物。
審判を下し罪と罰を与える。
その魔物がローを鋭く見つめ、迷いなく攻撃した。
馬、ペガサス型。
角から出したビームのようなものがローにストレートに当たる。
本来なら避けられる攻撃なのだが、きっと魔物がローの動きを止めてしまった。
強制負けイベントですから。
が、魔物は更にドサッと崩れ落ちたロー目掛けて蹄を体に叩きつけようと動く。
「やめて!」
こちらから攻撃したらターゲットにされてしまう。
攻撃が出来ないのなら庇うしかない。
頭を踏み潰されればただでは済まないのだ。
あと、踏み潰される描写もなかったから想定外に慌てた事も理由。
つい飛び出したが、踏まれるかと思った。
結果、踏まれなかった。
滅多に現れない魔物は分別があるのか暫しこちらを値踏みするように眺めた後、ヒューッと帰っていく。
怖くて膝が震えるが倒れているローの傍に膝を曲げる。
「ローさん!」
団員達も動けなくさせられていたみたいで、漸くローの近くへ我先にと駆け寄る。
皆それぞれどうすれば良いのかと目で周りを見て考えている。
普通は病院に連れていくべきだろう。
「担架居るよね」
冷静になったリーシャはいち早く団員達に言う。
「病院に連絡しときなよ。あと、ギルドに報告も」
皆か迷わないように的確にアドバイスする。
本当はローに抱きついて死なないでとすがり付きたいところだが、そんな立場にもない。
あーあ、幼馴染みポジションだったならなぁ。
団員達はそそくさとローを病院に運んだ。