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普段はぽやぽやしているのに不思議な二面性を併せ持つ。
「非常識なのはあなた達よ。メロウが」
「メロウ?」
初めて聞きましたー、初耳ですー。
と、いう風に呟く。
「メロウとかお前……んな都市伝説信じるとか。おい、そいつを連れてってくれ」
ま、そりゃ、知らない顔するよな。
まだ文句を言うキャシーが警備に連行されていく。
本当の事を言っているのに取り合わない周囲に孤立するかもしれないな。
「都市伝説って何?」
「各地で起こる不可思議な犯罪には緻密な計画を立てる組織が居るっていう眉唾レベル」
「あー。いつの時代にもそういうのあるよね」
分かる分かる、といかにも信じてないけど、と装う。
いやはや、演技が上手いな。
「もしかして、その組織があなた達ってあの人は信じちゃってるの?」
彼らが一様に頷くと若干引いた顔をし、なにそれ可笑しい、と空気を発する。
メロウ、それは宿主に寄生し内側から侵食していき、最後には美味しく頂く、という意味が込められている。
狂気を匂わせる由来。
メロウの目的はあくまで計画の一部。
末端だ。
患者を診察すると言うので行きずりの部外者は退場することにした。
ここに居ても、もうイベントは終わったようなもんだ。
使わなかった花を適当な土に埋める事にした。
さっくりとスコップを使って順々に埋める。
優しく丁寧に埋めると花を触らずに眺めた。
異世界も現代もこういう所は変わらないな。
風に吹かれる様を見ていると傍で土を踏む音が聞こえて意識を戻す。
ちらりと見るとローが居た。
久々に見た。
ラフな格好をしていて、輝いて見える。
「なんの意味がある」
え?
声には出さないが何を言っているのだろうかと困惑。
「助けたって誰もてめェに感謝なんてしねェ」
もしかして眠っている患者のことを言っているのだろうか。
「こらこら。救援に来た君がそれを言っちゃダメ」
心なしか睨まれているような。
「今時間あるなら一緒に眺めない?」
誘ったが当然、座ることもなく病院の建物へ吸い込まれていく。
彼の性格的に座るわけもないと知っていたから気にする事などない。
闇を抱える設定があるのだし、馴れ合いなんてもっと嫌っている。
――翌日
イベント通り、患者達は自然の起床をする。
何事もなかったかのように起きるが、ここが病院と知ると何故だと騒ぎ出す。
説明していると周りにいるのがハート団と知り、別のざわめきが場を支配する。
そして、問診や質問、痒いところに手が届くようにサポートする。
が、どうやら皆、ハート団とお近づきになりたいのか気を引こうとした。
「あの、私、怖くて」
一日も眠っていたのに呑気なものだ。
カラン、と音がしてスプーンを女性が落としたところを視界に入れ、拾いに行く。
「どうも」
素っ気なく言われ首を傾げる。