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- ナノ -
08
ギルドの関係者ではないが、ギルド(建物)には入る事が出来る。

「おー、ここがギルド」

感動しているとハート団の団員が自慢げに披露する。

「この街で一番賑わってるぞ」

一見企む人には見えないのに人って見かけに寄らないな。
案内されつつ付いていく。
ローが流れた事でタイムロスだったらしい。
しかし、依頼は期限日に達成出来たので満足しているらしかった。
楽しそうだ。

「お前も飲むだろ?」

「へ」

お酒の意を込める彼らに苦笑する。

「ごめんなさい。まだ宿取ってなくて」

「あー。お前食われてたもんな」

そうそう、魚に食われて馬車から下車させられた。
そういうわけでまた会おうとサラッと言い、ローに目を向ける事は無いまま出る。
ここで目を会わせたら勘ぐられたりするかもしれない。
この女、チカラ目当てか?みたいな。
全然目当てのものそれじゃないんで。
ロー本人が目当てでここまで来たんだからその他大勢と一緒くたにされたくない。
まぁ、色恋目当てでもないから、そっちを警戒されるのも嫌だし。
そうならないように彼らと適当に会話したり出来れば良い。
この町でイベントいう名の定期的にあるポイント制の限定品がもらえるゲームイベントはないので、違う町の方へいずれ行きたい。
全て見逃したくないが、速度的な面で無理だろう。
お店に寄って検討を付けていたボロ宿を見上げる。
うん、噂に違わずボロボロ。
一番安い宿だから仕方ないのかもしれない。
蓄えた資金は豊富にあるがずっとこの町に居ることはないだろうから、高い所に泊まるのもどうかと思ったのだ。
中へ入ると鳥小屋のようなシンプルだけど薄汚れた壁とご対面。
カウンターには老人が居た。
もさもさしているが清潔な感じはする。
年季が入ってるだけか。

「すみません」

何回か呼び掛けるが一向に起きない。
もしや死んでいるのやも。

「その人起きないよ。夜にしか話せない」

声が聞こえ後ろを振り替えると身なりの少し悪い人が居てこちらを観察する目で見ていた。

「今日ここへ来たのですが」

「ああ。カギか。カギはそこの中にある」

麻袋に入っていると示され、管理のズボラさにマジかよと呆れる。
こんなの取られちゃったらどうするんだ。

「こんなところに住むやつらの荷物なんてだぁれも漁らんよ」

笑みを浮かべた顔で愉快な声。
言われてみれば確かにそうかもしれない。

「ありがとうございます」

教えてくれた人に礼を言い部屋へ行く。
動く度にギシギシと床が軋む。
部屋がオンボロでも魔法で快適に出来るから問題ない。
お掃除魔法。
一番欲しいと思われるが、そんなに人気ではないのが残念だ。

――ギシギシ

部屋へ入ると更に軋みが激しくなり、こりゃ時間の問題だなと苦笑。
魔法の本でサラサラサラーっと部屋を綺麗にし、ワンランク上のホテルレベルへ変える。
外へ行くときには元に戻せば良い。

――ボスン

鞄をベッドの上に置いて荷を広げ快適にした。
うん、これからも楽しい生活になりそう。
さて、彼らと出会うという目標は偶然達成されたので先回りしておき次に騒ぎを起こす町へ移動する。
えっと、確かイベントでは大きな町で集団睡眠、謎の現象を引き起こす。
その理由は裏の依頼者、誘惑者と名高いインキュバスがメロウに依頼し、その経緯を完璧な犯行としてプロデュースする。

――タンタンタンッ

廊下へ移動する。
町娘、貴族関係なく眠らせ、更に一日二日程度で皆が目を覚まし、謎の現象として特に被害もないので立て続けに起きても誰も危機を抱かなくなる。
それが目的なのだ。
海では波が立つのが普通だ。
それと同じで眠るのも自然現象と同じ価値観で認知され、インキュバスに糧とされているのを知らないまま暮らしていく事になる。
が、それを解決するのがゲームの主人公としての役割を果たす分身だ。