07
魚に運ばれた分と迷子になった分の距離はかなりあった。
途中、ハート団達に会った。
合流出来るなんて魔法凄い。
「あ!お前は!」
ぬるついた液をすり付けた一人がこちらを指す。
「少しぶり。誰か探してたみたいだけど見つかった?」
「お前の隣に居る人だよ!」
「え?そう、なの?」
ローに初耳〜と装い尋ねる。
「行くぞ」
彼がこちらの問いと存在をスルーした。
あー、ぽいな。
付いていこう。
ここどこか分からないもんね。
「リーダー。こいつも?」
おいおい、産みの親だぞー。
育ての親だが。
どちらかと言えば産みの親は先輩だから。
ゲーム本体とキャラは別々に作られていたから。
「野菜と思ってろ」
野菜とか。
ぷぷ。
「じゃあローは農家のおじさんね」
周りがビクッとした。
ローは視線がドギマギしていた。
なにいってんだこいつ感。
「私が野菜ならそれをもぐのは農家の仕事」
うんうん、と皆に伝える。
伝わるかなこれ。
この例え、伝わってるか。
「なら、収穫時期を決めないと」
にや、と笑みを浮かべる。
ローから言い出したんだもんね?
勿論、付き合うよね。
「一ヶ月後にする?半年?」
手をわきわきさせてローへにじり寄る。
ローが靴を擦って後ろへ動かす。
後退してる。
ふふん、どうだ!
この得たいの知れぬ言葉攻撃。
ローが何も言えない。
彼は予想外が弱点である。
何度も言いたくなる弱点だ。
でも、メロウのトップなのによくそれで橋を渡ってこれたなと感心する。
ゲームの主人公は男と女が選べて女編では若干恋愛――うっすいものが仄かにあったりした。
大抵が好敵手扱い。
思考に耽っていたから話しかけられているのに反応するのが遅れた。
「え?なに?」
「聞いてなかったのか?だから、お前どこ目指してんの」
ローは前の方に居るから遠くなった。
尋ねてきたのはハート団の一人だ。
「んと、確かフルアメ」
「そうなのか?おれらんとこと同じだ」
「丁度良かった。あ、でも、フルアメは今大型討伐を募集してるんだっけ」
なら、ロー達がそこへ滞在していても不思議ではない。
「んー、まーな」
言葉が気になる程ではないけど、含みが感じられる。
こりゃ、完璧にその討伐を裏でやり込めたのだろう。
これからやるのか。
なんにせよ、リーシャはそれを見にきたのだし。
ハート団と今回現れるかもしれないメロウを。