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更に四日後、思っていたよりも遅い連絡があった。

「人員交換が明日終わる」

ローが皆が集まっている時に言った。
宇宙人みたいに両腕を掴まれてぶらりとさせられながら聞いていた。
うう、なんて事だ。
ローの部屋だから誰も来ないと思ったから見事に出された。
朝日が眩しい。
誰かサングラスを。

「聞いてたか?」

丁度サングラスをかけていたシャチが近付いてきたのでおねだりしてみた。

「太陽が私を拒絶するからグラサン貸して?」

「これはおれのチャームポイントなのっ」

「聞いてるのか?」

ローがこちらを見て言うので頷く。
ちゃんと聞いてた。
だってやっと安眠出来る船に戻れるのだから。

「お前帰っちゃうのかァ」

「なんだかんだ世話焼くの楽しかったな〜」

染々と言われる。
ここはちゃんと礼儀正しくしなくては。

「お世話になりました」

腕が使えないので頭を深々と下げる。
最近はベポの体がモフッているのに気付いて引っ付いていたのが惜しい。
あの毛皮を是非我がクローゼットに配置したい。

「れ、礼儀正しい」

誰かがぽつりと言う。
当たり前だ、海賊じゃないもん。

「当たりっすね。今回は。ね、船長」

船員がローに向かって了承を足す。

「忘れるな。こいつは向こうのやつだ」

「分かってます」

「船長だって気に入ってるのにィ」

「おれは同盟なんて認めてねェけどな」

「もう色々遅いだろ」

相変わらずこの海賊船は賑やかで皆仲が良い。
結構羨ましさはある。
腕を解放されたのでベッドの下にーー。

「まだ待て」

ーーパッ

ローが能力を使って目前に移動してきた。

「付いてこい」

言われるまでもなく、今ローの部屋に向かおうとしていたけど、言われたんだから付いていく。
歩いていると彼は会話を望んできた。

「気分はどうだ」

「悪くない」

「違う。明日、帰るだろ」

嗚呼、それについて、か。

「特に。何も」

ただ、船へ帰るだけだ。
人には全く執着も思い入れも無い。

「お前に関する情報がダッカー海賊団の中でもあまりにも少ない」

ぎらついた眼が探るように見てくる。

「そんなの知るわけない。ずっとクローゼット住まいだからじゃないかと」

神出鬼没の気紛れに外に出る。
面識など殆どの人はないと答えるくらいには忘れられてしまうくらい人付き合いはない。

「ここみたく、人は少なくなくて、出入りも激しい」

一人の事を特に、とるに足らない存在ならば記憶しておく理由はほぼない。
船長だって全員を把握しているかどうか。

「それもそうか」

ローは納得したのか、これ以上引き出せるものはないのかと判断したのか、追求の手を止めた。

「部屋入られたくないなら別の部屋に行く」

何かしらを疑っているのなら、入られたくないだろうという配慮だ。
それくらいはいくら己でも察せれる。

「いや、その必要はない」

きょとん、と彼を見上げた。
目は合わないがそのまま見る。

「見ていて飽きない」

それは動物とかそういう類いのものなのか。
心理戦は不得意だから分からないままだ。
立ち止まる事はなく部屋に着く。

ーーパタン

扉が閉まる。
即座にベッドの下に行く。

「鮮やか過ぎる」

一人ごちた様子のローにホカホカ顔で枕に頭を押し付ける。
唖然とした声音など怠慢の前では無音同然。