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- ナノ -
ローが変な薬を誤って飲んでしまったらしい。
船員が飲もうとしていた怪しげな薬をドッキリで飲まそうとしたらコーヒーを勝手に飲んでしまったらしい。

本当は別の船員を引っ掛けて笑い話にする予定だったらしい。
それをローが飲んでしまったのだから、笑い話に終わらなかった。
その船員は非常に不運である。

しかし、ローの刃を受ける事はなかった。
ふふ、だってローは……。
あ、笑ったら後で私でも能力で切られちゃうかも。
私でもつい笑いを堪えきれないトラブル。
いけない、笑うのなら自室で笑わないと

「船長ー!一緒に風呂入りましょう」

「別に良いが」

「駄目、駄目っ」

慌てて回想から頭を引き離してローを風呂にさそう不届き者から庇う。

「あ、お前近くに居たのか」

全員はちょっと気まずい顔をしてシオシオと引き下がる。

「誘いに乗ったら駄目!」

「は?……別に良いだろ」

ローは怪訝に言うが、女船員たる人も断固守るように言い含められたりしている。

私としても、いくらローであってもなんだかむずむずするのだから、なんとしても守らねば。

どんな人が来ても1ダメージだろうと手を拳にして振りかぶる所存。

「なんでそんなに気になる」

「逆になんで不快にならないの?」

ローは腕を組んで思考する。
その際に腕がムニュンとした物体を持ち上げて、無意識にそこへ目が吸い込まれる。
いかん。

「分らねェ」

「分からなくても警戒くらいはして下さい」

いつもよりも目線が低い。
楽っちゃ楽。
でも、胸に僅かに感情が焦げ付く。
羨ましさと悔しさを押し込める。

「転換薬。こうも大当たりを引くとは」

ローは薬を飲んだ。
男性が女性に、女性が男性になる本物の薬が。
それを果たして薬なのか?という疑問。
どちらかという魔法の方だと思う。

悪魔の実も科学的に証明不可能だし。
この世界の人達のタフさも魔法並みに謎だ。
ローは女になった体を気にせず、男性船員の風呂に誘おうとするから、尖ってしまう。

「なにがそんなに良いのか」

「ッ……ふ、う」

殺気というものを初めて感じた。

「?、どうした」

まるで自分がなにをしたかという顔。
なにも考えてない……!
く!
その胸に手に入れる為、どれだけの努力をしていたのか。

「いえ……なんでも、ない、です」

「そうか?」

胸が目に入る。
う、う、ぐ。
目に入れたら毒だから避ける。
ローと話していても船員達の視線はなくならい。

そんなに豊満が良いのか。
ローは男である。
それは良いのかな?

「くっ。可愛い」

「ナデナデされたいなァ」

「いや、お前、流石にぼこられるぞ」

なだめている男もハートを浮かべている。
ローは貞操を守れるのか不安だ。
いや、彼は恐ろしく強いから大事か。

「貴女は、アナタはとても鈍い」

「鈍い?たまにいわれるが、おれにはさっぱりだ」

男はきょとんとした顔で問うてくるが、私が教えられるわけもなく、互いに見るしかない。

「そのままで船を降りるんですか?」

「引きこもるのにも飽きた」

邪な視線に晒されるだろうに、良く平気だ。
男だからなのかな。

「お前も出るか?」

「一緒に行きます」

そう告げればローは驚く。

「珍しい」

「え?あー、たしかに」

船から出ない眠りまくる私が船から出て、尚且ローとともに出かけるなんて珍しい。
いわれて、意識してなかった。

「だって、凄く心配なんで」

「おれの強さは変わってないぞ」

呆れた声音で言われるが、強さとかは関係ないことだ。
だって、その胸が吸い寄せられてしまう。
そっちのナイトになりたい。
彼がなんの意識もしてないから余計に。
その豊満な丘は今無法地帯。

「私が守ります」

「はァ?」

なにを守るんだという目で聞いてくるが言っても多分通じない。
彼、彼女と外へ出る。

「華の街、ル・ブレー……お前には早いかもな」

華、というのは蝶、つまりは女性の事をさす。
この世界において無知な私でも関連で理解出来る。
こういうのばどの世界でも変わらない。

溜息を吐きたくなる社会システム。
なくてはならないシステムでもある。
頭では分かっているけど。
目の前の知っている人が利用するのはモヤモヤする。

「私はそこまで子供じゃないです」

「なら、一番盛り上がってる場所に行くか?」

女顔でニヤリと笑う。

「その顔で笑ったらモゾモゾする」

華のメイン街へ誘われたが、島の入口へ入った途端視線は女体化した男へ。
それでも屁でもない顔で闊歩。
メンタル強い。

小柄な体に刀を背負う姿は苦しい。
男の時でも大きかったのに、刀が本体に見える。

「その姿で戦えるんですよね?」

「大丈夫だ。変化した日から鍛錬している」

自身のある言葉に安心する。
断言するのならば信じるのみ。
華の島を見回すとかなり賑わいを見せている。
人々の話し声が聞こえる。

「名物がありますよ」

「華の街に来てくいモンか」

彼は笑う。
寝るか食べるかが私のルーティン。
食べる方に今は全振り。
ローのボディーガードなど後回しだ。
食い気に偏るのは仕方なし。

ローを引っ張った。
女の姿といつもよりも近寄りやすい空気。
それに行動をするきっかけを与えた。
男は女の行動に内心驚き、されるがままにさせた。