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「#エロ」のBL小説を読む
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直ぐに嗚呼と答えてもらえて寝たフリをする。
いつもの状態ではないから寝るにも眠れぬ。
何度か寝返りをしそうになったが、傍でローが寝ているから安易に寝返りすら打てない。
またローが話しかけてくるのも困るので息を潜めて待つ。
こうなったらいっそのこと外に出てハンモックで寝た方が眠れるかもしれない。
そう思ってそろりと腰を浮かせて起き上がる。
ゆるりゆるりと扉へ向かう。
ガン、と頭を打つ。
真っ暗で夜目も効かない己の身体能力では前へ進むのは困難だ。
見かねたローが能力により部屋の外へ移動させるまで頭を打ったり身体を打ったり散々ぶち当たった。
気付けば外へ出ていたことを知ると溜め息を吐く。
痛いしぶつけまくったのだ。
もう暗闇を、今日を最期に出歩きたくないな、と懲り懲りとした。
あぁ、ぶつけた、額、とネガティブな思考で甲板まで行くとハンモックは仕舞われていてどこにも見当たらず、検討ハズレになっている寝床をまた探さねばならなかった。
ふと、目が海に行き、もしかしたら海に入れば………と期待。
海水なんだから入り心地は保証されている。
けれど、クリオネを捕食する生物の胃に放り込まれるのを想像したら海に入るのが怖くなった。
うう、どうしよう。
悩んだ結果、甲板の扉の隣によっこらせと横になる事に決める。
こうすればなんとか寝る事が出来そうだ。
明日にはローの部屋へ入れるようになっていれば良いのだが。
そうでないと甲板の外へ寝る日々を連日過ごす事になるのは、かなり不便。
お風呂にも頻繁に入れないし、海へ浸かれば良いのだろうが、食べられるから無理だ。
それにご飯の調達も無理だろう。
飼われるという行為に慣れきった体たらくなので。

「むう」

リーシャは考えるのを止めて寝ることに集中した。
けれど、枕が変われば寝付けないというのと同じで空間事態変わってしまいどうにもこうにもならない。
いくら寝返りを打とうが、目を閉じて無心なっても無理だ。
力を抜いてだらけたってどうにもならなかった。
どうしようと悩みが起こり一旦起き上がると目をそこら辺に動かして景色を見る事にする。
眠れないのなら起きているしかない。
夜目も効かないので景色は真っ暗であるが。
夜空の星なら見るのが可能だったのでそれを眺める事にする。
星を数えようと一つ一つ数えるがマメではない性格と集中がそこまで続かなかった性質が災いし心の中で早めに飽きて諦めた。
星を数えるなんてそもそも無謀であったという突っ込みは、無しの方向でっ。
足を少し浮かせてフラフラさせ、時間をもて余す。
暇だな、何か起こらないかなとグランドラインの上で不吉な事を考えてしまう。
スプラッタではなく楽しい事が起きて欲しい。
勿論。

「海へ………やっぱ駄目………」

この船へまた帰ってこられるかは保証されない。
ちょっとだけという思考でやらかしてしまうかもしれない。
そんな危険な賭けはダメダメ。
そろぉ、と海に向かって視線を向けてみるものの、こっちおいでー気持ちいいよーという誘惑が聞こえてきそうな気がする。

「っ!」

いっそ、と誘惑がふわりと来た瞬間、足音が聞こえてきて硬直。
此処に居るのがバレたら職務質問されてお前部屋はどこだ?分からない〜となりこいつ不審者ー!という想像に行き着く。
バレたらイコール身バレして海に叩き出される自分な事になりかねない。
それだけは避けねば今後活動しにくくなる。
聞き耳を立てて誰が来たのかと緊張に手をグッと握り込む。
ガタンと扉の開く音が聞こえてきて暗闇で見えなかった周りが誰かのランタンにより照らされる。
リーシャはホッと息を付き、ローではない船員の姿に安堵。
船員ならば何となく誤魔化してやれそうだ。

「お、どーした」

ぺたんと座り込んでいるのを見つけた彼はこちらにランタンを向けて問うてくる。

「眠れなくて、ちょっと空気を吸いに」

低い声音を心掛け、答えたら相手は納得したのか、そうか、と言って微笑む。
しかし、次いで聞こえてきたのは困惑させられた。

「医務室にベッドがあるから休むならそっちの方が良いぜ」

(そーか!その手があったなぁ)

盲点だったその会話の内容に目から鱗。
嬉々としてありがとうと伝え早速向かう事にした。
医務室なら外で済ませなくても良いではないか。
しかも、薬品が置いてあるからベッドはカーテン付き。
とっても良い事だろう。
これから沢山安心して寝転がれるし、ローもそう頻繁に訪れない筈だ。
クリオネだった時は水の中で寝られていたが、人間の時に寝る非常事態の事も考えねばならないな、と考えさせられた。

(ヤバい。お礼言い忘れた)

折角良い案を提案してくれたのに残念だ。

(会ったらお礼言わないと)

寝床を探し彷徨いていたのだから当然、何か持参するべきなのだろうが。
花、は女々しいし、お金は安直過ぎて困らせる事になる。
もっと無難なお菓子、とか。
日持ちするヤツとか。
医務室に付くと鍵が閉まっていなくて本当にツイていた。