07
「ロー、もう一度言うけど」
「……あァ」
「彼氏いないよ?」
「今わかった」
ローは心なしかぐったりしているようだった。
けれどニヤリと笑みを見せる。
一体なんだというのだろう?
突然笑うローに怪訝な表情を向けていれば、「じゃあ」と続く言葉。
「俺は彼氏になりえるよな?」
「……へ?」
素っ頓狂な声を上げるリーシャにローはじりじりと詰め寄る。
そんなローにリーシャもゆっくり後退した。
しかし距離は全くなく、リーシャの後ろには壁。
トンと壁に背中が当たればローは更に口元を上げた。
「ロロロロー!?」
「なんだ?」
余裕な表情のローは答えながらもリーシャの目の前に来た。
「何言ってんのかわかってんのっ?」
「わかってるが?」
どうやら引く気配のないローにリーシャは焦る。
今までこんなローは見たことがない。
「なァ、リーシャ……ずっとお前が好きだった」
「ロー……」
「今も、お前に彼氏がいないとわかって凄く嬉しい」
ローの本音にリーシャはキュッと手を握る。
知らなかった。
全く気付かなかった。
「俺じゃ駄目か?」
切なげな瞳と熱を帯びている声にリーシャは首を横に振る。
「ロー……私だって、ローが好きだよ。でも、ローは友達にしかなれないんだって諦めてた……」
隣の部屋になって本当は凄く凄く嬉しかった。
顔を赤くしながらそう告げればローがリーシャを抱きしめた。
「リーシャ……!」
「勘違いさせてごめんね、ロー……」
すれ違いになって、下手をすれば一生口にすることはなかっただろう。
ローが私のことを好きだと知って、今の私は幸せ過ぎて怖くも感じる。
けれど、ローの体温が今日の出来事の証になる。
しばらく抱き合っていればゆっくりと離れていくロー。
「今日は泊まっていくからな」
「展開早過ぎない!?」
「早いに越したことはないだろ?」
「使い方間違ってる!」
リーシャが必死になって反論すればローは冗談だと笑った。
冗談に聞こえなかったのは黙っておこう。
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