05
「で、結局ローは何学科なの?」
「医療だ」
「え、あ、そっか。なんかロー昔そんなこと言ってたよね」
食堂から出たリーシャ達は大学の中央にあるベンチへ腰掛け、昼食を食べていた。
「リーシャは何取ってんだ」
「私は心理」
中学の時の学校にいたカウンセラーの先生に昔相談したことがあって、それで私は心理を学びたいと思ったのだ。
「へェ?」
「意外でしょ」
「そーでもねェよ」
笑いながら聞くと返ってきたのは意外な言葉。
「ローこそお医者さんって凄いよ」
「そんなもんか?」
「そんなもんだよ」
ローは昔から頭がいいからね。
そんな意味も込めて言えば彼は「とりあえず」と言葉を切った。
「大学は楽しめそうだ」
「よ、よかったね……」
同様したのはそう言った私を見るローの目がまるで獲物を捕らえかのように見えたからだ。
「ローなんか今日は変だよ?」
「人に向かって変ってなんだ」
「だって、ねぇ?」
「おれに聞くな」
隣人は相変わらずだな。
***
大学生になってリーシャと再会したことに俺は信じられない気持ちだった。
中学時代、あいつとよく俺はいた。
サバサバとした性格だからか接しやかったあいつ。
三年もの会っていなかった期間なんてなかったかのように話した。
でもどうやらリーシャには虫がついてしまったらしい。
今更おれが何かを言うことなんてできないから、ただ拳を握ることしかできなかった。
高校の時のリーシャが知らない過去はとても人に堂々と話せることじゃない。
だが、あいつが遠くなったなんて思わせないくらい自然と隣に来たことにおれは内心驚いた。
そして思った。
リーシャが欲しい。
中学からずっと胸に押し込めていた感情が溢れ出した。
あいつに彼氏がいようと奪いたいと思った。
傷付けたくないと思う反面、欲しくて欲しくて仕方がないという心。
抑え切る自信なんてなかった。
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