03
リーシャがそんな事を思っていると女子の中心にいるモコモコ帽子の人の顔がちらりと見え、一瞬バチッと目が合った。
「え、ロー……?」
今のは間違いなくローだった。
しかし、帽子やピアスはしていなかった。中学生の時は。
もう一度見ようと背伸びをした時、突然腕を引き込まれた。
リーシャの体が何かに受け止められた瞬間、女子の皆様はきゃーっ!と黄色い声を上げるのが聞こえた。
(なに!?)
ばっと後ろへ向く。
「よォ、リーシャ」
「あ、やっぱりローだったのか」
「やっぱりってなんだ」
「それより、何このハーレム状態」
「無視かよ。俺はモテんだよ」
「へぇー」
リーシャは棒読みすんな、と言っているローを適当に受け流しながら後ろを見た。
「ロー。友達?」
先程見たキャスケット帽子の人とペンギンロゴの帽子の人が一緒にいた。
「あァ。こいつはペンギン。俺らより一つ先輩だ。ちなみに同じ高校だった。」
「あ、よろしくです」
リーシャとペンギン帽子のペンギンはお互い頭を下げる。
「こちらこそ」
(真面目そう……)
続いてリーシャはキャスケット帽子の人を見る。
「初めましてだな!俺はシャチ――」
「下僕だ」
「ちょ!船長ォ!」
シャチが自己紹介をするとローがすかさず追加した。
「私と同じ大学だったんだ……?」
「驚いたか?」
「当たり前!」
リーシャが勢いよくローに言う。
「ローく〜ん!」
「トラファルガーくん誰その子?」
「友達?」
周りにいる女子達に不機嫌丸出しのローは鬱陶しいという感じて言葉を吐いた。
「……うっせーな」
「せ、船長だから落ち着いてくださいってば!」
いや貴方が落ち着いたらどうですか?
思わずシャチにつっこむリーシャ。
でも確かに女子率がハンパない。
リーシャはローはモテるのだと改めて思った。
中学生の時もかなりモテていたが、昔のような子供の面影がなくなり、スラリとした体型になったロー。
確かにこれはモテるだろうな、と周りを見る。
そこには目をハートにさせている女子達。
もはやアイドル並の人気だった。
[ back ] bkm