01
今日から私の大学生活が始まるのだ!
リーシャは胸躍る思いに耐え切れず、やっほー!と部屋の中で叫ぶ。
今は何をしようが恥ずかしくなんてない。
なんせこれからは自由な生活を満喫できるからだ。
興奮の余興が冷めると(また再発するが)、隣人に挨拶をしようと玄関へ向かう。
「どんな人だろーな、お隣りさん」
イケメンだったらいいなー。
なんて想像を膨らませるリーシャ。
(あ、美人なお姉さんでも……)
そんな事を考えている間に隣の部屋の扉の前に着いた。
先に言っておくが、自身がいる場所はアパートである。
なので、隣人へ挨拶というイベントは欠かせない。
――ピンポーン
早速インターホンをならしスッと背筋を伸ばす。
やはり初対面は緊張する。
―――ガチャ
「あ!こんにち――」
「久しぶりだな」
部屋の主へ挨拶をしようと言葉を発した直後、言葉を遮れ、変わりにいやというほど聞きなれた声が聞こえた。
「……もしかして!ロロ、ロー!?」
「ククッ、ロが多過ぎだ」
ニヤリと不適に笑う男。
「なっ、なんで……」
「さァ、なんでだろうなァ?」
「た、たまたま?偶然?」
「まァ、そうかもな」
そうかもって……。
「ローも大学の近くなの?」
「あァ」
「……へぇー」
リーシャは適当に返事を返すとじゃあね、と去ろうとした。
「急ぐことはないだろ。上がっていけよ」
「オコトワリシマス」
「フフ、遠慮はいらねェ」
「遠慮じゃなくて拒否ってるんですけど」
「ツンデレも極まったな」
「極めてないわ!」
反論している間にあれよあれよと部屋へ引きづられていく。
「ちょ、ま、待って〜!」
「待てはなしだ」
[ back ] bkm