09
ローに一つの部屋に住もうと言われ、私は二つ返事を……しなかった。
それをローに問われると私は苦笑をしながら「まだ学生だから」と答える。
しかし、その答えが気に入らないらしい彼は仏頂面で、
「イヤだ」
とわがままを一言。
「ロー、私達はまだ付き合って数日なんだから……」
「関係ねェ」
「ある」
お互い譲らぬまま攻防戦を繰り広げる二人。
このままではラチが明かないと思った私はスクリと立ち上がった。
「どこにいく」
「自分の部屋」
「なんでだ」
「……晩御飯作るから」
ため息混じりにそう言えばローは仏頂面のまま椅子から立つ。
「わかった。同棲の話しはもっと後にする……、だから行くな」
「……!?」
私はローの言葉に驚きを隠せなかった。
あのローが。
わがままで俺様なローが。
折れるなんて。
「ロー熱でもある?」
「どういう意味だ」
「だってさ……」
あまりにあっさりと言われれば色々と疑いたくもなる。
大学生にもなれば多少は心が成長するのかもしれない。
「聞いてんのか?」
「うん。聞いてる聞いてる」
こちらを伺うように尋ねてくるローに返事をすると私は椅子に座り直した。
「お前に彼氏がいると勘違いした時、すげェ後悔した」
「え、どうしたのいきなり?」
「黙って聞け」
「あい」
目力がハンパなかったので口を閉じてチャックした。
真剣すぎてローが普段より数倍かっこよく見える。
「正直、聞いたときは奪ってやろうと思った」
「!」
ローの言葉に目を見開く。
だってローがそんなことを思ってまで私のことを好きだったなんて。
「だから、お互いの気持ちを知った上で早くことを進めたいって思ったんだよ」
少しずつ声が小さくなるローの顔を見れば、端正な顔に赤みがさしていた。
こっちまで恥ずかしくなるよ。
「そっか、わ、かった……うん……」
どう答えればいいのかわからなくてしどろもどろになる。
自分なに言ってんのかわかんない。
きっとローの気持ちが嬉しくて悶えてるのかも。
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