04
「あ、あのっ」
ローが好きという女子Aがなんとさっきから黙ってビールを飲んでいるトラファルガー・ローに話し掛けたのだ。
「あ゙?」
(うわっ、感じ悪)
「私、トラファルガーさんのファンなんです!あ、握手してもらえませんかっ」
女子Aが勇気を出して声を出して言うとそれを周りにいるハートの船員が船長を囃し立てた。
「船長羨ましいぜ!」
「やっぱり内の船長はモテるな!」
「うるせェ、静かにしねェとバラバラにするぞ」
トラファルガー・ローはそう言いながらも口元に笑みを浮かべていた。
「別に構わねェ」
彼が言えばまた船員達が騒ぐ。
「本当ですか!じゃあお願いします!」
と女子Aは彼の手を握る。
「キャーッ!触っちゃった!!」
「私もいいですか!?」
「私もお願いします!」
(えぇー……)
貴女達ドレークとユースタス・キッドのファンなんじゃなかったかい?
私は三人に呆れながらも声を掛ける。
「もうそろそろ仕事に戻らない……?」
「えーっ、もうちょっとしたら行くわ」
「私も、リーシャちゃん先に行ってて」
「うんうん!」
その返事に内心ため息を付きながら厨房へ戻る。
その時厨房へ入っていく姿を帽子のファーからローがずっと見ていた事など全く気づく事はなかった。
***
リーシャが去った後もロー達は三人のウェイトレスとの会話を続けていた。
「もしよかったら隣いいですか?」
握手だけかと思いきや座ってもいいかと言われローは眉根を寄せる。
(あの女の事が聞けるかもしれねェな)
あの女とはリーシャのことだ。
この女達とは違い自分に全く興味を示さなかったことに逆にこっちから興味が沸いた。
ただ海賊が嫌いだけかもしれないが。
「構わねェ」
「ありがとうございます〜!」
他の女のウェイトレスも船員達に混ざって酒を飲んでいた。
(おいおい……)
ローは呆れ返りながら隣に座っている女に聞く。
「さっき厨房に戻った女だけに任してきてよかったのか?」
そう尋ねると女は嘲笑うようにクスリと笑みを浮かべた。
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