03
「それは本当!?どこ?どこ?」
この前トラファルガー・ローの手配書を見ながらローが好きだと言っていた女子Aが興奮気味に聞く。
「あそこあそこ……!」
女子Bが厨房の扉に付いている窓から見えるテーブルを指す。
「本当だわ……!」
確かにそこには二億の賞金首と書いてあった手配書と全く同じ顔のトラファルガー・ロー本人とその仲間であろうツナギを着た船員や……白クマもいた。
私は白クマの中には人でも入っているのかな、と暢気にそんな事を思っていると――。
「ねぇリーシャちゃん。貴女話し掛けてきて」
「はぁっ!?」
女子Aが爆弾発言をしてきたのだ。
「なんで私が!?」
「だって私どう話し掛けたらいいかわからないもん」
(もんって何もんって!)
私だってわからない。
「まぁまぁ、とにかくこれ持って行ったら?」
そう言われながら渡されたビール。
「私達も後から行くから〜!」
「っ、絶対だからね!」
「「「うんうん!」」」
私は渋々ながら厨房の扉を開け、レストランを見回した。
「え、人がいなくなってるし……!」
さっきまで賑わっていた店内はがらりとしていてハートの海賊団以外のお客は一人もいなくなっていた。
(海賊だからか……)
私だって海賊なら麦藁海賊団が断然いい。
そんな事を思いながらハートの海賊団がいるテーブルへと向かった。
「お待たせしました」
私はそう言いながらビールをトン、と置く。
「おっ!やっと来たぜ!」
キャスケット帽子被っている男性は嬉しそうにビールを手にするとグビグビと一気に飲んだ。
「いい飲みっぷり……」
私がつい呟いた言葉にキャスケット帽子の人が反応した。
「ん?はは!サンキュー!」
その人はニカッと笑った。
「いえ、それでは」
その表情に呆気に取られつつ、そう言い立ち去ろうとする私。
「「「お待たせしましたー!」」」
「え……」
振り返るとウェイトレス仲間の女子達が料理を持ってニコニコと笑っていた。
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