ガラスの靴は脱いだのよ | ナノ
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夜になるとドフラミンゴの別荘の一つと言うらしい建物を借りてそこへ止まる事となる。
最初はいきなり外泊はと渋っていたロー。
けれどリーシャが初の女友達との外泊に胸を躍らせているのを知って溜め息を付きながら了承してくれた。
ローに抱きつこうとご褒美感覚で腕を広げたら彼は止めろ、と待ったを掛ける。
そんな一幕があったりしたが、特に問題も無く夜になった。
本当は彼氏のキッドと同じ部屋の方がいいかと思ったが、マリベルはリーシャと同じ部屋で良いと言ってくれたので甘える事にしたのだ。
シャワーを順番に使っていく。
一部屋に一つ完備されているという豪邸っぷり。
この屋敷の持ち主があの人なのだから当然なのかもしれない。
マリベルにも使ったことを伝えて交代だと告げれば彼女は立ち上がってシャワールームに行く。
一泊二日なので明日も楽しみだ。
しかし、リーシャには今日やりたい事がある。
一見違う部屋を所望するかと思われたローがキッドと同部屋。
つまり寝起きを共にするのだ。
変な意味ではない、ここ重要。
その二人が居る部屋へ突撃したいのだ。
学生時代には良くある事だ。
いや、無いのかもしれない。
やった事が無いので自分だけでは判断出来ない。
髪を乾かしてシャワーから上がったマリベルにこの事を話すと彼女は嬉しそうに賛成してくれた。
良かった。
はしたないと言われて一蹴されては友達になるのが遠ざかる。
突撃、隣の部屋だ。
やはり宿泊するイベントと言えばこうでなくては。
わくわくと胸を躍らせて隣に向かい、マリベルと扉の前へこればドアノブを開ける。
しかし、ガチャンと音がして鍵が掛かっている事を知った。
これでは不意打ちをかませないと肩を降ろす。

「誰だ」

ローの剣呑な声に下心がバレたかと思って素直に私、と言うと安堵したらしく待ってろと言われる。
開けてくれるらしくどうやらこちらへ来る足音。
ガチャンと音がして直ぐに扉が開かれてローが目の前に現れた。

「へんた、ドフィが来たかと思った」

「だから鍵掛けてたんだ」

「嗚呼。まかり間違ってドフィが侵入してきたなんて事があったら明日は湯煙殺人事件が起きてしまうしな」

明らかに殺意を持って追い払う腹積もりだったのかとはは、と乾いた笑みを零す。

「マリベル、お前も来たのか。取り敢えず入れ」

ローに足されて部屋に入れてもらうとキッドがソファでピーナッツを食べていた。

「それビール?」

隣にコップがあるので聞く。

「酒は二十歳になってからだろうが。これは麦茶だっつーの。つーかマリベルも来たのか」

不良なのに正論を言うキッドにローは含み笑いをする。

「こいつ俺より不良の癖に耳にホールも開けてないんだぞ。くくく」

「何笑ってんだトラファルガー、絞るぞ」

締めるではなく絞るのか。
マリベルは徐にキッドの隣に座る。
それに慣れた様子で座るスペースを空けるキッドに小さなショックを受けた。

「熟練夫婦じゃんもう」

「だからユースタス屋とマリベルは目に入れたくねェんだよな。リア充滅しろ」

中指を立てて挑発するローにキッドは青筋を立てて「お前等もリア充だろうがっ」と怒鳴る。
確かに名目上はカレカノの関係だ。

「お前等だって好きに過ごせばいいだろ。意味不明な事言ってねェで……お前等には無駄な言葉か」

キッドは何か諦めた風に溜め息を付いて前を向いた。

「……それもそうだな。リーシャ」

名前を呼ばれてローの方を向く。
彼は何かを決めたらしく手招きしてくる。

「冷蔵庫にジュースが入ってるから好きなの選べ。あと菓子がある」

ローは冷蔵庫と籠(かご)の中身を見せた。
成る程、確かに沢山お菓子がある。
これもドフラミンゴやモネら辺が用意してくれたのだろうか。
嬉しくなりながら選んだジュースと籠を持ってキッド達の向かいにあるソファへと座る。

「お前はほんとに食う事が好きだな」

「え?……自覚は無いけど、そうなのかな?」

思い返してみると、ただ出されたものを無造作に口に入れているだけのような気もする。
確かに食べるのは好きかもしれない。

「これ全部食っていい」

「そうなの?料金とか発生しないかな……」

「ユースタス屋だって普通に食ってくるだろ?」

「どういう意味だ?」

キッドがローの発言に疑問系で聞くと彼はニヤリと笑い楽しげに言う。

「料金が上乗せされてるなら、ユースタス屋にそれを知らせないままお前が呑気にお金を使っていくのを俺は今頃ほくそ笑んでる。料金がかかってればの話しだがな」

「あんだとコラ!」

「まーまキッドくん」

マリベルが宥めるように言う。
ローもキッドをからかうのが好きなようだ。
普段屋敷の人間から遊ばれているせいで鬱憤が溜まっているのだろう。
微笑んでそれを見て仲が良いな、と思った。


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