ランちゃんの激怒
リーシャがローに誘拐され新聞に記事が載った翌日――。
――プルプルプルプル……。
あらかじめ用意されていたのだろう船内の部屋の電伝虫が鳴る。
リーシャは誘拐された、今電話をしくる人物が予想できた為、ごくりと喉を鳴らし恐る恐る受話器に手を掛けた。
『もしもし!リーシャっ!貴方なのぉ!?』
耳に当てた瞬間、リーシャの耳元に部屋中に響くような声が聞こえてきた。
「う、うん……私、だよ……」
あまりの剣幕に苦笑いする。
『大丈夫!?怪我はない!?』
「大丈夫だよ、ランちゃん」
まるで前の自分と立場が逆だ。
リーシャが心配される側になってしまった。
『トラファルガー・ローめぇ〜!今度あったら男として生きていけない顔にしてやるっ!!』
「そ、それは……」
トラファルガーさんがかわいそうになってきた。
『リーシャっ、同情なんてあんな奴には勿体ないわっ!』
と憤るランちゃん。
「と、とにかく私は酷い事とかされてないから安心して……」
するとランちゃんは暫し無言の後「わかったわ」と言ったので私はホッと息をついた。
『あいつの大事な大事な場所を踏み潰すだけで妥協するわ』
「潰っ!?」
やっぱりランちゃんの怒りは静まりませんでした。
(ふん。私のリーシャをあげるつもりなんてないんだから)
(ランちゃん、ありがとう。気持ちだけでも嬉しいよ)
(まぁリーシャ!今度会ったら一緒にショッピングに行きましょ!)
(会えたらね)
(大丈夫、ユースタス・キッドに無理矢理航路を変えさせるから)
(え)
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