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月見団子は思っていたよりも甘くて美味しかった。
二人が談笑していると一つの陰が一部を黒くする。
リーシャとベポが顔を上げれば、そこにはローの姿が。



「ベポ。俺にも分けてくれるか?」

「アイアイ!」



小さなボトルに口を付けてゆっくりと味わうローに、ベポは楽しそうに動いた。



「フフ。どうした?目が泳いでるぞ、リーシャ」

「ふぇっ!?」



先程の戯れに気まずい気持ちを抱いていると、ローにからかいが含まれる口調で問われた。
リーシャはドキリとなる。図星も図星とはこの事だ。
あたふたと動揺を隠せずにいると、ローが笑いがしらにリーシャの腕を掴む。



「え!」

「月見酒に付き合え。月見団子もあるしな」

「で、でも……船員の皆さんが」

「んなもん、あいつらも勝手にやる」

「でも……」



渋る彼女を見事に丸め込んだローはニヤリと笑う。
甲板の端、月がよく見える場所へと連れていかれた。
二人でそこへ座ると、向こう側で船員達の賑やかな声が小さく聞こえる。
リーシャはローを見ないように顔を伏せた。



「照れてんのか?」



ククク、と喉を震わす声音にビクリと肩を震わす。
お互いの距離が近くて心臓が早鐘のように鳴っている。



「月さえ見れば俺は見えない。上を向いてみろ」

「………」



譲歩してくれたのだろうか。
落ち着き払ったローの声に、すんなりと顔が上に動いたリーシャ。



「綺麗……」



つい、ほろりと零れた。
ローも同じく上を向いているようで、「あァ」と肯定する。
毎日見ている月のはずなのにどうしてか、とても美しく思えた。








月に酔う





Title/惑星


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