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いつから起きていたのか。
そう質問する余裕などカケラもない。
「ト、トラファルガーさん――!」
耳の熱に耐えるようにキツく目を閉じるリーシャ。
「ん?どうした?苦しそうだな」
わかってるだろう答えを問い質すロー。
更に頬が紅潮してくるのがわかる。
「あ、あの、あの……わ、私っ」
用件を伝えようにも、上手く頭が処理できない。
「なんだ?ククッ……身体が熱いようだが、大丈夫か?」
また意地悪な事を聞かれ、リーシャは羞恥心にベッドから出ようとする。
「フフ……逃がさねェ」
「あ……!」
悪戯めかす口調でリーシャの腰を引き寄せる筋肉質な腕。
そして、先程の位置よりもっと密着した二人。
吐息どころか、心臓の鼓動までもが伝わってきた。
「あ!やっと来たんだね、二人共――あれ?リーシャ、何だか顔が赤いよ?」
「ベポ、リーシャの顔が赤いかなんてわかんのか?」
既に酒が入ったフラフラな身体を揺らすシャチ。
「だって、俺夜目が聞くもん」
「ばっか!おま、野暮なことは言わなくてもわかるって意味だよ!」
「すいません……」
ズーンと打たれ弱いベポは床に陰りを落とす。
「シャチ……眠れ」
「い゙っでェ゙エ゙ー!?」
静かな口調とは真逆なドキツいチョップをペンギンから受けたシャチは痛みと酔いに地面へダイブする。
(あ、シャチさん大丈夫かな……)
「シャチなら寝かせとけ」
リーシャの心を読んだようにローが言う。
「明日は酷い二日酔いになるだろうが、まァ自業自得だな」
ベポを落ち込ませた事を含ませるローの呟き。
リーシャは苦笑しながら宴の席に付いた。
「今日は見事な満月だ。あれを見ながら宴をしようじゃねェか」
「「「「船長最高です!」」」」
全員が口を揃えて賛美する。
太っ腹な船長に対して皆、ビールや酒がたっぷりと入ったジョッキを掲げた。
「「「かんぱ〜い!!」」」
それから、騒がしくも賑やかな宴の幕は上げられた。
歌を歌う者や踊る者。
誰もが月明かりの下を満喫していた。
「あ、おいしい!」
「でしょでしょ!モチモチ感が堪らないよね!」
ベポが言っていた月見団子を食べるリーシャ。
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