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ハロウィン


「ハロウィンってリーシャ知ってっか?」

「ハロウィン、ですか?」

「TRICK or TREATなんて言葉もあるぞ」



シャチの言葉に首を捻る彼女にペンギンも会話に加わる。
リーシャは悩ましげに声を出す。



「とりっくおあとりーと?何の言葉ですか?」

「お前が俺のデザートになるための言葉だ」

「ひっ」



突如子羊の背後に現れた狼。
リーシャはびくりと肩を震わせ反射的にシャチの後ろへと逃げる。



「うわっ、て船長!いつの間に!?」



リーシャの行動に驚くシャチにペンギンも冷静な物言いをローに向ける。




「何がデザートですか。間違っていることを教えないでください」

「間違ってねェ。デザートになる日だ」

「お菓子を渡す日だ」

「リーシャを食べる日だ」


「うわついに言い切った!」



悲鳴を上げるシャチの後ろでリーシャはビクビクと、言い合う二人を隠れ見る。



「てなわけだ。さァ、部屋行くぞ」

「えっ!?あああの!わ、私、結構ですぅ!」



シャチを壁にしてなお、リーシャの腕を掴んで引っ張り出そうとするロー。
リーシャは必死に抵抗する。
その際、シャチの服も掴み取った。



「いだだだだ!リーシャ痛い!超痛いんだけどォ!!」

「踏ん張れシャチ」

「他人事みてェに言うなよっ!」



傍観しているペンギンはシャチにこっそり親指を立てる。



「お菓子も用意してるぞ」


「わ、私を、お菓子で釣っても無理ですっ!」



押し合いへしあい。
ローが本気を出せばリーシャなんて簡単に部屋に連れて行ける。
それを知っているペンギンは内心ため息とやれやれと知らずのうちに笑みが漏れたのを感じた。
そして、尊敬している一人の船長に膝蹴りをするべく、前を一歩踏み出したのであった。









そしてお菓子(だけ)をもらった子羊さん


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