エイプリルフール
「今日はエイプリルフールらしいな」
「エイプリルフールって嘘をついていい日ですよね?」
シャチさんに言われてあぁ、と思い出す。
「てことでなんか嘘ついてきてくれ」
「私がですかっ!?」
ペンギンさんが「やめておけ」とシャチさんに言う、が聞く耳をもたないようだ。
「え……っと」
結局余りにもごり押しするシャチさんに負けて、私はトラファルガーさんの部屋の前に来てしまった。
「どうした。入れ」
「は、はいっ」
扉が開きトラファルガーさんに手を引かれ緊張しながら怖ず怖ずと部屋に入り、立ったまま深呼吸しながら口を動かす。
「あ、あの」
「ん?」
(嘘、嘘、嘘………)
何を言っていいのか迷っていれば、先程囁かれたシャチさんの言葉が頭にこだました。
「き、嫌い、ですっ」
目をギュッと閉じてなんとか言い切ればパリーン!という陶器、トラファルガーさんが持っていたコーヒーのカップが割れる音が聞こえ何事かと目を開く。
「ト、トラファルガーさぁ〜ん!?」
そこにはソファに倒れている死の外科医。
私はやり過ぎたと必死に謝り、その日の夜にシャチさんの生首が晒されていて、その首が泣いて謝る姿に私も気を失いそうになったのだった。
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