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私は戸惑いながらなんとか変顔を作ってみる。
「………」
「………」
ベポさんとお互いに変顔を見せ合う。
しかし私は目をつむり顔を動かしたから相手の顔は見えなかった。
でもリーシャは一生懸命面白い顔を作っていたのでペンギンは何も言わずに二人の様子を見ている。
「おい……」
このまま勝負はつかないかと思われた時、ローはリーシャに声を掛けた。
「はい?」
中断したことにペンギンが咎めようとしたら――。
「その顔萌えるな」
「も、燃える?」
「あーあ、船長……」
「ベポ、リーシャの耳と目を塞げ」
「アイアイ」
ペンギンさんの地を這うような声と共に私の聴覚と視覚が塞がれる。
「え?え?」
わけがわからないまま次に目が見えた時にはトラファルガーさんの頭に大きなたんこぶが出来ていた。
「え!?ど、どうしたんですかそのたんこぶ!」
「気にするな。自業自得だ」
「結局にらめっこの勝負つかなかったな」
呑気なキャスケットとペンギンがそう言うがリーシャはオロオロとローを見る。
「で、でも……」
リーシャはそっと少し高いローの頭に手を伸ばし、その行動にローはしばし固まる。
「………!」
「大丈夫、ですか……トラファルガーさんでも怪我をしたら私、心配します……」
思いがけない彼女の言葉に少しずつ理解していったローはその手の感触をリアルに感じた。
「……あれ?トラファルガーさん、顔が赤いですよ?」
「っ……気のせいだろ」
耳もよくみればほんのりと赤い事に首を傾げたリーシャにローは首を横に捻り何もない場所に目を移した。
「キャプテン風邪引いたのかな?」
「違うだろ」
「つーか、船長って意外に純情だったんだな!」
そんな甘酸っぱい雰囲気の二人を温かな目で見守るベポと今回だけは見逃そうと許したペンギンの声とけらけらと楽しそうに笑うシャチの声がきっちり外科医の耳に入っており、後にシャチが船長の能力の餌食になることは決定事項だろう。
顔が赤いのはたぶん夕日のせいだ(とある外科医論より)
Title/空をとぶ5つの方法
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